第3章 立ち振る舞いにご注意を
ほの花を連れて帰ると泣いて喜ぶ雛鶴達が俺の腕からアイツを奪い取っていった。
手持ち無沙汰になった俺に正宗達が深々と謝罪してきたが、自分の継子のことだ。面倒を見るのは当たり前。
少しいつもより遅い夕食となったが、その日はほの花達がきてから初めての誕生日を祝ってくれて、やっとヤキモキした気持ちが落ち着いて行った。そもそもほの花が変な気の遣い方をしなければこんなに苦労をせずとも祝ってもらえたと言うのに。
だからといって、あの猪突猛進天然爆裂娘にはそれを問いただしたところで意図せずにやっていることなのだから直しようがない。それにアイツのあの天真爛漫さは気に入ってるところでもあるのだ。
夜も深まり…
いつもよりゆっくりめに風呂に浸かり、部屋に戻ると俺よりも早く風呂から上がっていたほの花が何故か襷掛けをして俺の部屋の前に正座して待っていた。
「は?お前、何してんの?」
「ご要望の按摩をしに来ました!!」
いや、確かに言ったが肌寒くなってきた今日この頃。床板は特に冷たさを感じやすいところで尚且つ風呂上がりで火照った彼女がこんなところにいたら湯冷めしてしまうだろう。
「ハァ…、あのな。だったらせめて部屋の中で待ってろ。冷えるだろうが。」
「え、でも…勝手にお部屋に入るのは些か気が引けまして…。」
よりによって何故俺は今日、長風呂をしたのだ。
そうしなければもっと早くここに来てやれたというのに。
ほの花を立たせるとその手を引き、部屋の中に招き入れた。
思った通り、その手は冷たくなってしまっていて若干の後悔が頭を埋め尽くした。
「お前ならいつでも入っていい。今度あんな寒ぃところで待っていやがったら鍛錬をまた増やしてやるからな。」
「しょ、承知しました…。」
鍛錬を増やされるのは嫌なのかコクコクと頭を上下に振って了承してくれたが、彼女の温もりが戻るまで暫くてを握りしめたまま離さなかった。