第22章 今の上官は風柱様です!※
深々と一礼をした正宗達はそのまま部屋に戻っていくものだと思っていたら、遠慮がちに廊下の近くに正座をした。
あまりにその行動に面食らい、二度見してしまうが、正宗の言葉にもっと面食らうことになった。
「宇髄様、我々はほの花様の元護衛です。この屋敷に必要なければ我々もほの花様と共に此処を去りましょうか?」
そう考えるのは自然のことだ。
コイツらが変なわけではない。だが、どうしてもそれが受け入れ難いと思ってしまったのは、ほの花が万が一帰ってきたら…コイツらがいるのといないのとでは雲泥の差があると感じたからだ。
もちろん直ぐにそんなことしなくてもいいと言うつもりだったが、それよりも先に再び元嫁三人に飛び掛かられてそれは叶わなかった。
「駄目ですぅーーー!天元様ぁっ!あの三人を追い出したら呪ってやりますからねぇ!!」
「そうです!天元様絶対に駄目です!許しません!」
「正宗様達も!そんなこと言わないで下さい!」
俺だけに止まっていた非難の嵐はそれを言い出した正宗達にも飛び火してしまい、屋敷中に怒号が飛び交い収拾がつかない有様だ。
たった一人の女がいなくなっただけで家の中はぐちゃぐちゃ。
勿論、俺だってほの花に戻って来てもらって再び彼女を抱きしめたいと願っている。
しかし、あまりに酷いことを言ってしまったが為に簡単に許してくれだなんて言い出せない。
まきをの言う通り、ほの花ほどの良い女は野放しにすれば途端に男が群がるだろう。手放したのは自分なのにそれを考えるだけで今すぐこの腕の中に収めて誰にも見えないようにしてしまいたいと考えるのに、何故昨日あんな酷いことを言ったのだ。
後悔しても後悔しても足りないほど後悔している。
一先ず、正宗達に「お前らが出て行く必要はねぇから」とだけ伝えると再び恭しく一礼をして騒がしかった元嫁達を連れて部屋を出て行ってくれた。
本当にアイツらはこういう時、俺の味方になってくれるというか…助かる存在だ。
もう一度出会い直せるならば、友人として普通に出会いたいものだ。