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陽だまりの先へ【鬼滅の刃/音夢💎】R指定有

第22章 今の上官は風柱様です!※




「いや、宇髄はお前のことをペラペラと話すようなことはしたことねェからなァ。柱内でもお前の生い立ちとか家のこととかは詳しく知ってる奴はいねェよ。」


その言葉の中からすら宇髄さんの愛が溢れてきた。此処にはいない。もう二度と抱きしめてもらえないのに、今、私はこの瞬間彼の言葉にすら抱きしめてもらっているような気分になった。


ゆっくりと頭を上げると不死川さんと向き合う。
彼が悪戯に私のことを話したりしないなんてことはわかっていた。
守ってくれていたんだ。私のことを。
でも、もう彼は守ってくれないから、私のことは私が責任を取らなければならない。

自らそれを曝け出さないければ、強くなれない。


「…私はただの薬師の娘ではありません。陰陽師の末裔神楽家の最後の生き残りです。その為、呼吸は使えません。鬼狩りをする際には陰陽道を使います。」


不死川さんは目を見開きながらも私の話を聞いてくれている。
強くならなければ。
私にはもう守ってくれる恋人も師匠もいない。


「…神楽家はなかなか女児が生まれず、私が生まれたのも100年ぶりとのことでした。その神楽家の女児にのみ受け継がれると言うのが…先ほどお伝えした"稀血"のようです。母の…古い知り合いの方に偶然お会いして、初めて知りました。」


"古い知り合い"だなんて…大昔の知り合いの家系だと言うことを遠回しに言ってみただけ。
それでも珠世さんを庇ってしまうのは彼女の目に嘘がなかったから。そして、少し母の面影を垣間見てしまったような気がしたから。


それでも今回ばかりは大嘘吹いたわけではないし、母から絶対に言ってはいけないと言われてきた治癒能力の件だけは言わずとも自分自身の口でちゃんと話せた。


鬼殺隊の中で異質だろうと、陰陽師の末裔としての自分とちゃんと向き合う覚悟ができた。

もう守られるだけではいられない。


宇髄さんは今まで守ってくれていた。こんな私のことを最後までちゃんと守ってくれた。

ならば彼の想いに報いらなければ。

それが元継子の最後の恩返しだ。

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