第22章 今の上官は風柱様です!※
声を震わせながら紡ぐ言葉は妙に腑に落ちた。
確かに少しの違和感を感じていたのは事実だからだ。あの時、鬼は首に舞扇が食い込んでいたのに気にしていたのは自分の手だった。
あまりにその後一瞬で宇髄がその鬼を殲滅したもんだからしっかり見れたわけではないが。
ほの花の話を聞けば稀血だと知ったのは最近だと言う。突然、そんなことを知れば驚くのは無理はないし、怖くなって当然だと思うが、誰にも言っていないというと……
「…宇髄にも言ってねェのか?」
「っ、い、言い出せなくて…お伝えできていません…。」
それを聞くと何度目かの頭を抱えた。ほの花のことを宇髄より先に知ってしまったことに頭を抱えてしまうのは当然のこと。
(…言っとけやァ…。そこはよぉ…。)
あの男のことだ。そんなことでも目くじらを立てて怒るだろう。今は良くてもコイツらが元鞘に収まった時、俺はまさかまた殴られるんじゃねェだろうな。
だが、ほの花の話にはまだ腑に落ちないことがいくつもある。きっちりと理解するためには話の前後が分からなければならないのだが、宇髄が知らないことを先に知ることになることだけが引っかかる。
しかし、ここまで話してくれたのだ。
乗りかけた船だ。最後まで面倒見てやるか…と再びほの花に目を向けた。
「…お前、何で突然稀血のこと知ったんだよ。何かあったんだろ?」
その瞬間、びくりと肩が跳ねた彼女にやはり発言を撤回しようかと迷った。
聞かれたくないことも人間誰しもある。
彼女にとってそれが今の質問ならば取り下げることも検討しなければならない。
「…悪ィ。聞かれたくないなら…」
「不死川さんは…私のことをどこまで知っていらっしゃるんですか…?宇髄さんから…何か聞いてますか?」
しかし、ほの花から発せられたのは自分のことをどこまで知っているかと言う確認する内容。
宇髄はほの花の身の上話をペラペラと話すようなことはしない。柱内であっても。
それはほの花のことを想ってのことだろうし、柱の中でも無闇矢鱈に聞くことを憚られた。
(…お前が可愛くてたまんねぇー!って内容は死ぬほど聞かされたけどなァ…。)