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陽だまりの先へ【鬼滅の刃/音夢💎】R指定有

第22章 今の上官は風柱様です!※





ほの花が妹に似てるなんてことはない。
顔立ちが全然違うし、第一この歳の頃の妹なんか想像できない。幼かった妹はそのまま止まってしまっている。

でも、似たような境遇でも前を向いて必死に頑張るお前が妹のように感じていたのは俺も一緒で。そのせいもあって恋心ではないにせよ、放っておけない存在ではあった。


だから宇髄とのことで此処まで泣き喚いても、引くどころか何とかしてやらねぇとという家族のような気持ちが芽生えて益々放っておけない。


「…不死川さんもお母様を手にかけてつらかったですね…。お察しします。でも、弟さん一人守られたということでしょう?凄いです…!私は虫の息だった母を助けることができませんでした…。」


そうやってしょんぼりと肩を落とすほの花にまた泣き始めるのではないかと慌てたが、伏し目がちのそこに涙はなくてホッとした。

助けたと言っても一人だけ。
そしてその弟とも決して関係が良好だとは言えない。というか会っていない。
凄いと言われるようなことでもないし、あのとき母親を…いや、鬼を狩れたのは自分の血のおかげでもあったと思っているので褒められたものではない。備わってる能力は自分の鍛錬のおかげでもなければ、生まれ持ってのもの。
鬼狩りになるべくして生まれたのかと頭を悩ませたこともある。


「別に…俺は稀血だからよ。血を流した時に母親…じゃねぇ、鬼が一瞬怯んだから助かっただけだァ。大したことじゃァねェ。」

「まれち…?」


しかし、稀血のことをよく理解していないようでほの花は大きな目を見開いて首を傾げた。
鬼狩りになって間もないこともあるが、ほの花はどちらかと言えば薬師としての才を認められて鬼殺隊に貢献しているようだから鬼の生態に関してあまり知識がないのだろう。


「知らねェかァ?人間の中には鬼にとってその血肉を喰らうだけで五十人以上喰らったと同じくらいの栄養がある奴がいる。俺はその中でも鬼を酔わせる特別な稀血を持ってるらしい。だから鬼と化した母親を討ち取ることができた。それだけのことだァ。」


ただ知識として話しただけ。
それなのに青い顔をして震え始めたほの花に俺は狼狽えた。
まるで何かに怯えるようなその様子に俺は背中を摩ってやることしかできなかった。


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