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陽だまりの先へ【鬼滅の刃/音夢💎】R指定有

第22章 今の上官は風柱様です!※





泣きながら後をついていく女が後ろにいて不死川さんはさぞかし恥ずかしいだろう。
何とか涙を止めたくても溢れ出すそれを止める術が無くて、無情にも瞳からは大粒の水滴が流れ続けている。


漸く不死川さんの家に着いたことで前でこちらを振り向き、手で家を指差すと「入れェ。」と言ってくれた。


震える声で何とかお礼を言って、上がり込む先は不死川さんのお屋敷。
此処にくるのは二回目だ。


初めて来たのは宇髄さんの継子となって間もない時期。
確か…宇髄さんのお誕生日。
私は正宗達を連れて宿を探していたんだ。元奥様達との時間を作ってあげようと思ったから。
そうしたら町で会った不死川さんがおはぎをご馳走してくれると言うので、柱の申し出を断るのは失礼かと思い、此処まで来た。

その後般若のような顔をして迎えに来てくれた宇髄さんに随分と驚いたのを思い出す。


あの頃、もう私を想ってくれていたのだろうか。
そう考えただけでときめく胸が虚しく感じる。


いま思えば、のこのこと宇髄さんと恋仲にならなければよかった。
元奥様達と仲良く暮らしていたというところに私は土足で踏み躙ったのではないか。
無知な上に素直に彼の想いを受け取ってしまったが、私がいなければこんな風に掻き乱すこともなかった。

もう…頭の中はグチャグチャだ。
自分なんて消えて無くなってしまいたいと思う一方で、勝手に浮かんでくるのは宇髄さんの顔ばかり。




「…何してんだァ。早く入れェ。」



こみ上げる涙は止まることを知らないから踏み出す一歩と共に溢れてくる。
頬を伝い、顎から垂れるそれを拭うこともせずに私は玄関まで来ると涙と共に漏れ出た言葉に自分自身も驚いた。



「…私なんか…昨日殺されちゃえば良かったんです…。」



何を言ってるんだろうか。
助けてもらっておいて何て酷い言葉。
薬師としての仕事も鬼殺隊としての任務も全て放棄して殺された方が良かったなどよく言えたものだ。

それでも漏れ出た言葉は本音だが、自分の感情が勝った弱音だ。

宇髄さんに嫌われてしまうくらいならば消えてしまえたら楽なのにと思ってしまった私は何て弱い女なのだろうか。


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