第3章 立ち振る舞いにご注意を
「…邪魔するぜ、不死川。」
昨日の夜ぶりに会った宇髄さんのあまりの剣幕に何故怒っているのか理解できず、放心状態の私を置いてけぼりに不死川さんが立ち上がった。
「おい、テメェ。玄関は後で修理しろよォ?ぶっ壊しやがってェ。」
「…ンなもんはあとでいくらでも直してやる。継子が世話になったみてぇだな。」
「おはぎ一緒に食っただけだろ。何ぶちキレてんだァ。落ち着けや。」
え?ぶちキレてるの?!後ろに立っている彼の姿を未だに目で確認することもできずに私は不死川さんの顔を見ることしかできない。
あわよくば、彼に宇髄さんの怒りを鎮めてもらえないだろうかと期待に満ちた視線で見てみるが不死川さんはため息を吐く。
「何もしてねェ。天に誓って。だから殺気立つのはよせェ。ほの花も怯えてンだろうがァ。」
「……悪ぃ。コイツ、連れて帰るわ。玄関は明日直す。世話かけたな。」
そう言うと宇髄さんは私の隣にかがんで、そのまま体を抱き上げた。急に感じる浮遊感に思わず宇髄さんの体に掴まるが、体調不良なわけでもないのに何故こんな状況になっているのだ?
「え、う、宇髄さん?歩けますよ?!」
「じゃあな、不死川。」
「え、あ、し、不死川さん!おはぎとお茶ごちそうさまでしたぁー!!」
私の訴えを完全に無視すると、不死川邸を後にする。玄関は見るも無惨な状態で、何故彼があんな破壊するほど怒っているのか未だに分からない私は、どう話しかけたらいいのか分からず無言のまま彼の服に掴まっている。
でも、状況的には迎えにきてくれたということで、やはり私からの贈り物は嬉しくなかったと言うあの三人や不死川さんの意見が正しかったということで少し落ち込んでしまう。
簡単に言えば誕生日なのに彼に余計なお世話をかけてしまったのだ。