第22章 今の上官は風柱様です!※
鬼狩りに行った先にいた鬼がクソほど雑魚だったので早々に首を斬って、あたりを警護しつつ、帰路に着くところだった。
しかし、家に帰ってもほの花はまだ居ないだろうし、あまりに手応えのない鬼だったので、優しさのつもりで不死川のところに手伝いに向かった。
女好きの鬼の囮となってる自分の女が心配でたまらないのは当たり前だ。
不死川と一緒ということで少しばかり安心はしているが、やはりそばにいないと不安は募るという物だ。
不死川が向かった町の名前は聞いていたので早くほの花に会えるという浮ついた心が脳を占領していたのは道中だけ。
鬼狩りをしているにしては静かすぎるその町に到着すると、異様な静けさに眉間に皺を寄せた。
「…は?まさかこっちももう終わったとか?」
十分にあり得る話だ。
今回は不死川も一緒なのだ。
俺と同じく早々に終わらせて帰宅の途についているならば、何という遠回りをしてしまったのだ。
仕方なく元来た道を戻ろうかとした時、不死川の声が聴こえた気がした。
耳の良さなら天下一品だ。
声のする方に向かい、屋根伝いに走っていくとそこに居たのは背中に「殺」という文字が付いている男のみ。
近くを見渡してもほの花は見当たらない。
嫌な予感がしたが、この時点では柱である不死川が一緒なのだから何処かにいるのだろうと勝手に思っていた。
「…クソッ、とりあえず何とかして探し出すしかねぇ…。」
「誰を探すんだよ。手伝うか?」
だから音もなく近寄り、声をかけると俺の顔を見た瞬間、若干顔を引き攣らせた不死川に心臓が自分でも煩いくらいに早鐘する。
「…宇髄…ッ、お、お前、何で…。」
「…その顔はどうやら最悪な状況だということで間違いねぇか?なぁ、不死川。」
俺の地を這うような声にビビるような奴ではないが、目線を下げて明らかに狼狽えている様子に思わず胸ぐらを掴み上げていた。
「…おい、一度しか聞かねぇぞ。ほの花は何処にいる。」
「…悪ぃ、恐らく血鬼術で…急に此処で消えちまった。」
不死川の言葉を聞いて、直ぐにぶん殴ってやろうかと思ったが、一分一秒でも早く助けてやらねぇと…という理性が勝った。
まだ死んだと決まったわけじゃねぇ。
俺は不死川に現状を聞くために掴んでた胸ぐらを離した。