第22章 今の上官は風柱様です!※
不死川さんが帰ると、ねっとりと纏わりつくような視線が体中を蔓延る。
それが誰のものなのかなんて言うまでもなく…
「…お、怒ってるの?」
「まぁ…半分?」
そう。私の大切な恋人で音柱の宇髄さん。
継子が師匠の了承がないと他の柱の任務を手伝えないなんて初めて知った。
明らかに反対していた彼が怒っているとは思っていたが、半分だけ怒っていると言う。
完全にブチ切れてると思っていた私はホッとして顔を綻ばせた。
「え?…半分?残りは怒ってないの?」
「帰ってきたら何でも言うこと聞いてくれるんだろ?」
「…うん。言うこと聞くけど…、え?何言おうとしてる?」
流石の私もこの時点で彼が言わんとしようとしていることが何となく分かってしまう。
先ほどあれだけ拒否したせいでかなりご立腹のはずだ。
「明日一日、俺に抱き潰されろ。」
「怖っ!めちゃくちゃ怖いんですけど?!」
「何でも言うこと聞くんだろ?さっきの分もしっかり頂くからな。覚悟しろよ。そうと決まれば準備でもすっか。あと数時間でいかねぇといけねぇし。お前もだろ?」
そう、不死川さんは行く時に迎えにきてくれると言うので家で待っていれば良いのだが、任務で怪我をしなくても帰ってきたら私は暫く寝込むのではないか?
宇髄さんの体力(精力)と自分のが釣り合っていなくていつも息も絶え絶えなのに一日中って…。
「あ、あの…!私、明後日も仕事あるからね…?薬も作らないといけないから…。」
「安心しろよ。もし起き上がれねぇような状態になりゃァ、俺が後ろから支えてやっから。」
「そう言う問題?!ちょ、ちょっとは手加減してよーー!」
「お前が何でも言うこと聞くって言ったんだろ?嘘だったのかよ?」
嘘…?!ニヤリと笑って私を言いくるめる気満々な宇髄さんに苦笑いしかない。
冷や汗まで流れ落ちる始末だが、時と言うのは無情にもすぎるもので、珠世さんの件然り、人の心を軽くすることもあれば…
明日が来るのが怖いと思っていても
明日は必ず来るし、
明けない夜はないのだ。