第22章 今の上官は風柱様です!※
ほの花があからさまに俺のご機嫌取りをしてきたのを呆れて見ている。
俺がそんな小癪な手に引っかかるか。馬鹿ほの花め。
元々、不死川が一緒ならばほの花の身の危険がどうのって言う心配はしてない。ただ任務に連れて行かれるのが嫌だっただけ。
しかも女しか手を出さない鬼って…ふざけんなよ。俺の女に手を出すなんざ、考えただけでも胸糞悪ぃっつーのに。
だが、最後に放った一言で俺の考えは反転したと言ってもいい。
「……何でも?」
「え?…はい。何でも言うこと聞きます!」
「…仕方ねぇな。不死川。ほの花が怪我でもしてみろ。今度は家ごと破壊してやるからな。」
帰ってきたら死ぬほど抱き潰してやると心に決めて俺は結局了承することにした。
そんなこととは露知らずなほの花はのんきに喜び、その横で多少なりとも俺の考えの予測が立っている不死川はほの花を憐れむような目で見ている。
「で?いつ行くんだよ。その任務とやらに。」
「あ…あァ、行くならすぐにでも行きてェから今夜にでも借りれるかァ?」
「まぁ、早い方が良いわな。ほの花は良いか?」
「はい!大丈夫です!風柱様よろしくお願いします!!」
急に畏まったほの花に俺と不死川は顔を見合わせた。
いつもみたいに"不死川さん"と呼ばずにそう呼ぶのは任務において柱がそれだけ尊敬されているというのをほの花が心得ているからだろう。
きっと俺と任務に付けば俺のことも"音柱様"と呼ぶと思う。
「…もう一度言うけど、ほの花が怪我したらただじゃおかねぇからな。」
「わかってるっつーの!」
「本当ならば付いて行きてぇところだけど生憎、今日は任務だから頼むぞ。」
「はいはい。」
本当について行きたいのは山々だ。
何なら任務を代われと此処まででかけたが、担当地区の警護を簡単に交代するわけにもいかないので泣く泣く諦めた。
不死川の強さは同じ柱である俺が良くわかってる。信頼も…してる。
半ば諦めのような心境だが、帰ってきたほの花を好きにできると言うのであれば此処は大人しく引き下がろう。