第3章 立ち振る舞いにご注意を
「あは、あはははっ!!正宗さ、ん、おっかしー!」
「天元様のことは好きだし、妻なのは間違い無いですが、ご心配には及びません。」
「私は天元様よりほの花さんとのが結婚したかったですーーっ!可愛いし、優しいし、お風呂一緒に入ってくれるし!!」
三者三様の返しだが、三人ともが目的のための夫婦ということを理解して受け入れている様子で、少しホッとした。
ほの花様がどう思っているかは分からないが、どうせ物凄く鈍感なのだから気付くには時間がかかるだろうし、それならばしがらみは少ない方がいい。
自分達も妻を亡くしたが、ほの花様は家族を全て亡くしていて、精神的にかなり落ち込んでいたのは明白で食事も喉を通らない時はどうしようかと思った。
しかし、いつの間にか宇髄様がほの花様の拠り所になってくれていたのは有り難かった。
幼い頃より成長を見守ってきた彼女は妹のような存在で、神楽家に仕えていた親が亡くなった時もほの花様が掛け合ってくれたことでそのまま護衛に就かせてもらったのは感謝してもしきれない。
だからこそ、そんな彼女を優しく見守るようにそばにいてくれる存在ができたことは喜ばしい限りだ。
「妻が三人いる」と言われた時は驚いたが、すぐそこに恋愛感情はないことが分かった。
何故なら宇髄様が彼女達を見る目が、自分達がほの花様を見る時の目と変わらないと気づいたからだ。
その関係は信頼関係で確固たる絆で結ばれている。
過保護と言われようと妻がいる男性を好きになってしまっては傷つくのはほの花様であって、できたら彼女が傷つくのはもう二度と見たくないと思っていた。
自分達もまたほの花様とは信頼関係で確固たる絆で結ばれていると思っているからだ。
今回は偶然の産物だが、先回りして宇髄様の奥様達に心の内を聞けたのは安心した。
後は筋金入りの鈍感さのほの花様を宇髄様がどう攻略するか…ということだけ。