第22章 今の上官は風柱様です!※
まぁ、断ってくるだろうという大方の予想は当たっているし、想定内のことだ。
問題は此処からどうやってこの男を丸め込むかってことだ。
「あァ、俺の警備地区に最近、やたらと女ばっかり狙う鬼が現れていてよ。」
「その時点で派手に断るがな。まぁ、続けろ。」
いちいちうるせェ男だなァ。ほの花のことになると途端にこうなるのは分かっていたが、目の当たりにすると喧嘩腰になりそうなところをグッと堪える。
「…一般人の女はこれで10人くらい喰らってやがる。警備に行っても男の俺だと出て来もしねェからよォ。女の隊士を数名向かわせたんだけど、階級も低い奴だったから殆どヤられた。」
「へー、そんで俺のほの花のとこに来たってことかよ。派手に断る!!」
「俺だってなァ!!此処にくる前に胡蝶ンとこも行って、カナヲに頼みに行ったんだァ!でも、別の任務でいねェっつーから此処に来たんだろォ!?お前がどうせ断るって分かっていながら来たんだぞ?!少しくらい検討しろやァ!!」
…しまった。つい、熱くなってしまった。
コイツがあまりに聞く耳もたねェからつい苛ついちまった。
だが、時すでに遅し…。ジト目でこちらを見る宇髄は完全に臨戦体制だ。
「ほぉ…、それが人に物を頼む時の態度かね。不邪魔川くん。」
「テメェ…こっちが下手にでりゃァ、調子に乗んなよ!俺ん家の玄関壊したくせに!!」
「アレはもう弁償した上に、菓子折りまで持って行ったろうが!!過去を蒸し返してくんなっつーの!」
「四の五の言わずにほの花を貸せェ!男の俺が行っても鬼が出てこねぇから囮になってもらうだけだァ!怪我とかさせたりしねェって!約束する!」
「お前、阿呆か!囮って言うのが派手に嫌なんだわ!お前がどうのじゃねぇ!!」
完全に交渉は決裂したと言って良い。
仕方ない。他の女隊士に頼むしかないか。ある程度強くねぇと困るから頼みに来たんだが、宇髄のこの調子だと難しいだろう。
しかし、今日の俺は運が頗る良いらしい。
宇髄の隣で人形みてぇに大人しかったほの花が俺を呼び止めた。