第22章 今の上官は風柱様です!※
文句を垂れつつも、部屋の中に案内してくれた宇髄の顔は不満タラタラだ。
「そんなにヤりたかったんなら、部屋の中でしろやァ!!」と此処まで出かけたが寸前で堪えた。
今回はこの男の機嫌をこれ以上損ねるのは困るからだ。
何なら今の状況もあまり芳しくはない。それならばヤり終わった後のご機嫌な宇髄を訪ねたかったものだ。(その場合のほの花の機嫌は知らんが。)
「まぁ、座れよ。せっかくほの花が茶ァ淹れに行ったわけだからよ。よく考えたらお前が訪ねてくるなんて珍しいじゃねぇか。」
「…あー、まぁなァ…。ちょっと仕事の依頼で来たからよォ…。」
「仕事?そういうことかよ。共同任務か?」
「まァ、そんなとこだァ。」
意外にも好感触な音柱・宇髄天元の反応に"イケるかもしれねぇ"と少しだけホッとしたところで、ほの花が帰ってきた。
「失礼しまーす。お茶をお持ちしましたー!」
「お前、夜覚悟しとけよ…?逃げやがって…。」
「し、不死川さんー!お茶どうぞー!豆大福もどうぞー!二個どうぞー!」
茶と豆大福だけ置くと、再び宇髄から逃げるように部屋を出ていこうとするほの花に待ったをかける。
「ちょっと待てェ!お前も此処にいろォ。」
「え…、わ、私もですか…?」
「お、気が効くじゃねぇか。不邪魔川!よぉし、俺の膝の上にこい!ほの花!」
「ひ、膝…!い、行くわけないじゃないですかぁーー!!」
…もう何処でも良いから座ってくれ。
俺は此処に痴話喧嘩を見にきたのか…?ちっとも話が進まないので、此処はほの花に我慢してもらうしかない。
どうせこの家の主人は宇髄だし、ほの花は恋人といえど継子なわけだから。
「ほの花…とりあえず宇髄の膝でも何処でもいいからよ、兎に角座れ。俺ァ、宇髄に話があってきたんだァ。」
その時の絶望したようなほの花の顔が頭から離れない。
人前でも平気で惚気て恥ずかしげもなく触れ合う宇髄と人前では弁えていて常識人のほの花。
全然違う種類の人間が此処まで相性が良いのかと思うほど、この二人は愛し合っているのが不思議でならない。