第21章 桜舞う、君との約束※
「んー…からだいたぁい…。」
「…そりゃそうだろうな。」
微睡みの中、自分の出した言葉が声に出したのか、心の中で言ったのかも分からないのに、上から降ってきた声に潔く前者だと知る。
見上げた先にはいつもの美丈夫の大好きな人。
寝起きでも格好良いなんて本当に狡いと思う。
「…おはよー…ごきげんいかがですか。」
「あ?まぁ、控えめに言って最高だな。お前を抱いた後、お前を抱きしめて寝て起きるなんて派手に贅沢だろ。」
「私も…朝から御尊顔拝めて最高ですー…」
彼の胸に擦り寄ると頭を撫でてくれて、益々この微睡から抜け出したくないと思ってしまう。
「まぁ、俺は派手に男前だからな!」
「…うん。本当に!宇髄さん、本当に男前だと思う。上背もあるし、本当に目の保養。」
「……お前、寝ぼけてんのか?」
折角、褒めているというのに変な顔をしている宇髄さんに面白くなさそうに口を尖らせてみる。
「…もう!起きてるよー。おはよーって言ったじゃん!」
「…昼過ぎてっけどな。」
「え?!ひょええええっ!しまったぁ!鍛錬と朝ごはん食べるの忘れたぁ!!」
「鍛錬と朝メシ同じ括りかよ。」
慌てて起き上がるけど、体がだるいのも腰から背中にかけてが痛いのも変わらないし、お股もヒリヒリする。いずれの症状も情交後特有のもの。
「あああ…体が痛いし、だるい…。」
「抱えてやるからちょっと待ってろ。」
「いつも思うんだけど、何で宇髄さんはそんな平気そうなの?」
男性と女性とでは使う筋肉が違うのだろうか。毎回、スッキリとした表情の宇髄さんは心なしか肌も艶々。
私はと言うと肌は艶々なのは一緒だが、それ以外はボロっとしているのは否めない。
「お前、気をやりすぎなんだわ。男は一回しか出さねぇじゃん。」
「えーー?!それは嘘!!だって宇髄さんだって何回も出す時もあるじゃん!!」
「そりゃ何発も打ち込む時もあるけど、そうだとしても総回数がちげぇだろ。」
あまりに体への負債が違いすぎて、若干不満は溜まるが、彼に愛されること自体は大好きなのだからそれ以上文句を言うこともできず抱えてくれるという彼の首に掴まった。