第3章 立ち振る舞いにご注意を
俺も含めて気分がダダ下がりな四人が廊下で項垂れていると勢いよくガラッと玄関から入ってきた人物にギョッとした。
「あ、う、宇髄様、お、お帰りなさいませ。一足遅かったですか…。」
全力疾走してきたのだろう。玄関で座り込んで肩で息をする人物に慌てて駆け寄るがいつもは一緒にいるほの花の姿はなく、そこにはその護衛の三人のみ。
「ほの花はどうした。三人だけか。」
「え、えーっと…そ、それは…。」
「…どうした。何かあったのか?」
歯切れの悪い正宗に一抹の不安が過ぎる。
まさか何か事件にでも巻き込まれたのだろうかと柄にもなく心臓が跳ねた。
「な、何も!何もありません!いや…あるのか…?いえ、だ、大丈夫です!…多分」
…多分?
今度はやけに動揺している隆元の発言に眉間に皺を寄せる。
「…ほの花はどこにいるんだ。お前らだけここに戻って来るって可笑しいだろ?アイツの護衛なのに。」
あまりに挙動不審な三人に圧迫面接でもしているかのような気分になるが、此処にほの花がいないことで気が立っていた俺は追及を止めない。
すると、観念したように大進が一歩前に出て恭しく頭を下げた。
「ご無事なのは間違い無いのですが…ほの花様は今、不死川様という方のお宅にいらっしゃいます。」
「はぁ?!何でアイツん家にいるんだよ。どういうことだ?一体なぜそんなことになった?!」
「お、お、落ち着いてください!宇髄様!!」
俺のあまりの剣幕に後退りをする三人だが、それに構わず凄んでしまう。
とんでもなく苛つくことしてくれるじゃねぇか。
俺の誕生日に俺以外の男の家にいることも。
一緒にいるのが不死川ということも。
勝手に気を利かせたつもりで出て行ったことも。
全部逆効果なんだよ。
アイツ…明日は今日の三倍の鍛錬にしてやる…。
俺は履物を履くと今し方、三人が入ってきた玄関を出ると最高速度で不死川の家に向かった。