第21章 桜舞う、君との約束※
そういえば両親の話は聞いたことあれど、ほの花から兄君達の話を聞いたことがなかった。聞けば教えてくれたと思うが、今の今まで失念していた。
生きていれば義兄になるわけだから、そこは知っておきたいところだ。
(…須磨!お前、良い質問だ!たまにはやるじゃねぇか!)
心の中で須磨に物凄く失礼なことを考えるとほの花が正宗達と顔を見合わせて苦笑いをしているのが目に入った。
まさか…話しにくいことなのだろうか。そりゃぁ…四人もいて四人とも亡くなっているのだからまだ話すのはつらいのかもしれない。
居ても立ってもいられなくて口を挟もうとしたのだが、それはほの花が話し出したことで飲み込むこととなった。
「…お兄様たちは…めちゃくちゃ過保護だったんです。」
「…過保護?ですか?」
「はい。えっと、言い方が悪いかな…心配性というか、大切にされていたのは間違いないんですけど…里の同い年の男の子と喧嘩してしまって、子ども同士の喧嘩なんて些細なことなのに四人で家に押し掛けてボコボコにしたことがあって…それから私に正宗達が護衛として配属されたんです。」
「ひっ!ぼ、ぼこぼこ…!?」
"過保護"と言うのは間違いない。
しかし、何となく…少しだけ…いや、だいぶ…、兄君達の気持ちが分からなくもない自分がいることに人知れず顔を引き攣らせる。
「それから我々は兄君達の密偵のようなこともよくしてましたよ。ほの花様が遊びにいくと相手は男じゃないか隠れて見て来いと言われたり。」
「ほの花様が泣いていたら大量の甘味を買いに行かされたり。」
「この際だからハッキリ言いますが、ほの花様が里でお相手が見つからなかったのは兄君達のあの圧力のせいとしか思えません。背後に見えるんでしょうね…。般若のような兄君達が…。」
いや、天国にいるお義兄様方…!!
派手に助かりました!
最高です!
心の中で拳を握りしめて「よし!」と喜びを噛み締める俺は暫く感動で打ち震えた。
(…つーことは生きてたら結婚の挨拶行った時に俺も殴られる可能性もあったっつーことだけどな…。)