第21章 桜舞う、君との約束※
「お前らは結構酒強いのな。」
宇髄さんは正宗達と仲良くしてくれているのは知っていたけど、こんなに話しているのを初めて見た。
私がいない時は男同士四人でお酒を飲んだことも何度かあると聞いたことはあったけど、実際に見たのは初めてかもしれない。
いずれも私が任務や薬師の仕事が忙しい時期で、尚且つ宇髄さんがお休みの日にそれは行われていたようだし。
だから正宗達とこんな風に笑い合ってお酒を飲んでいる姿はとても新鮮で、嬉しく思った。
「はい。ほの花様のお父上の宗一郎様がとても酒豪でいらっしゃって…、事あるごとに飲まされました。」
「何だよ、お前全然受け継いでねぇじゃん。お義父さん酒豪なのかよ。」
さりげなく"お義父さん"なんて呼んでくれる宇髄さんに嬉しくて顔がにやけるが、内容は揶揄されているので微妙な心持ちだ。
「うちは母と私だけ弱いのー。兄達もすごく強かったし。私だけ母の家系の血を色濃く継いでるんだよ、きっと。」
「あー、確かにお義母さんに顔そっくりだもんな、お前。」
「え?宇髄様、灯里様の顔をご覧になったんですか?どちらで?」
不思議そうに隆元がそう聞いているが、確かに今の発言だけだと夢でも見たのではないかと思うだろう。正宗と大進と顔を見合わせて不思議そうな表情をしている。
「ん?ああ、里に行った時によ、家族写真見たんだ。すげぇ似てね?ほの花。」
「確かにほの花様は灯里様似ですね。兄君達は宗一郎様寄りの顔立ちでしたよ。」
「そう…言われればそうだったかもしんねぇ。」
猪口を持ったまま、まじまじと顔を見つめてくる宇髄さんに体を仰反らせていると須磨さんが「あのー」と声をかけてきた。
「ほの花さんのお兄様達はどんな方だったんですかぁー?確か…四人いらっしゃったんですよね?」
そう言えば宇髄さんにもだが、この家に来て兄のことは深く話したことがなかったかもとそこで初めて気付く。
聞かれたこともなかったのであえて話したこともなかったが、須磨さんに言われて久しぶりに思い出す兄達の姿は
"過保護"
としか形容しようがないと改めて気付く。