第21章 桜舞う、君との約束※
ひとしきり笑い終えると全員で墓の前で手を合わせる。
横で熱心に手を合わせてくれるほの花だが、先ほどのことを思い出してしまい軽口を叩いてしまう。
「おい…喋りかけなくていいのか?」
「も、もう!!やめてよー!今せっかく忘れかけてたのにっ!」
「いや、逆にあれを短時間で忘れかけるお前がすげぇわ。流石俺の女。」
「…なんでだろう。全然嬉しくないよ…?」
思い出せばまだ笑えてくると言うのに既に忘れかけていたというほの花に驚きしかないが、こんな可愛い行動も終わってみればただ愛おしい。
内容は完全に俺を喜ばせるだけのものだったし、本音が聞けたことも嬉しかった。
「そうか?褒めてんだけどな。さぁて、飯でも食うか。花見だ花見!お前ら、今日は一杯付き合えよ。」
正宗達に目を向けて酒を酌み交わそうと誘ってみると笑顔で頷いてくれる。ほの花の家族も、コイツらの家族も全員死んじまってるが、幼い頃よりほの花と過ごしたコイツらは家族のようなものだと言っていた。
ほの花の家族ならば俺の家族同然。
俺の家族同然の元嫁達にも良くしてくれているのもありがたい。任務でなかなか家にいない自分の代わりに男手があるのは助かるし、思ったよりもアイツらがこの三人に懐いているというか仲が良い。
自分の元嫁達だっていつかは嫁いでいくのだろうが、もし嫁ぐならばこういう男達のところに行って欲しい。自分から関係を解消したこともあり、後ろめたさは少なからずあるので、やはり三人には幸せになってもらいたいと思うのだ。
「上等な酒持ってきたからよ。飲め飲め。」
そう言うとデカい酒瓶を掲げて三人に向ける。
家でもたまに酒を酌み交わすことはあるが、青空の下昼間っから飲む酒は美味いだろう。
昔のほの花のことを色々と教えてくれるコイツらとの会話は面白い。
好きで好きでたまらない女の"今''しか知らない俺に"過去"を教えてくれる貴重な存在。
だから彼らとの会話は楽しくて仕方ないのだ。