第21章 桜舞う、君との約束※
琥太郎くん達が出て行った翌日、宇髄さんが朝食の時に急に「…あ。」と声を上げる。
突然だったので、どうしたかと思って隣の彼を見上げると私の頭を撫でて、少し考え込むように腕を組んだ。
「…ほの花、お前今日暇?」
「え?やることは、鍛錬とお薬の調合だけですけど…。」
「なら昼間はいいな?」
彼の発言の意図がよく分からないが、その問いに否定の言葉は必要ないので頷いた。
すると前にいた正宗達にも「お前らもいいか?」と聞き出したので益々よく分からずにキョトンとしてしまった。
しかし、雛鶴さん達だけは彼の意図が分かったようでハッとしたような顔をした。
「確かにいつもちょうど今ごろですね。天元様、お弁当の準備しましょうか?」
「ああ、酒とな。」
「わーーい!今年はいつもよりもたくさんで行けるなんて幸せですぅーー!!」
「ほの花さん、忙しくないようでしたら手伝ってもらえますか?」
「え?あ、…は、はい。」
宇髄さんと元奥様達三人だけが会話の意味を理解しているようで、私と正宗達は顔を見合わせて首を傾げる。
暇かどうか聞かれて、お弁当とお酒を持って行くと言うことはどこかに行くということで間違いないのだろうが、こんな突然に「暇か?」と聞かれたこともないのでソワソワとしてしまう。
しかも元奥様達だけでなく、正宗達も一緒ということがより不思議に感じる。
それでも連れて行ってくれるということは私たちに後ろめたいようなことでもないのだろうと思うので、その様子を見守ることしかできない。
「ほの花、今日の鍛錬は準備運動と打ち込みを30分だけにしとけ。疲れちまうといけねぇからな。」
「う、うん。分かった…。」
宇髄さんにそう指示をされたので食事を食べ終えると、言われた通りの鍛錬を行って必要分の薬を作った。
未だにどこに行くかも教えてもらえず、疑問は募るばかりだが、「行けばわかる」と言う彼の言葉に深く突っ込めずにいた。