第20章 未来花嫁修行※
「宇髄さん、お腹空かない?私は空いた。死ぬほど空いた。ご飯食べたい。産屋敷様にもらった羊羹まだ食べれるかな…。」
「…わぁーったから落ち着け。三日も物食ってねぇんだから粥からに決まってんだろ。羊羹なんか食うな。」
起きたばかりの宇髄さんに起きたばかりの私。
口づけをして甘い雰囲気の中、それを崩したのは自分だった。
しかし、今回は許して欲しい。空気が読めないと言われてもお腹が空いて死にそうだったのだ。
私の言葉に宇髄さんは起き上がると、おそらく雛鶴さん達に声をかけに行ったのだろう。部屋から一瞬出ていくとすぐに戻ってきてくれた。
彼の目の下のクマはだいぶ薄くなっていて、ホッとした。三日ぶりに起き上がってみると久しぶりの感覚に頭痛がした。
これは…間違いなく…
「…寝過ぎて頭痛い…。」
「三日寝てたから当たり前だろ。目眩はないか?」
「え?うん。大丈夫そう。」
「お前倒れた時、目眩がひどかったの覚えてねぇ?」
…そう言われるとそんな気がする。
私は微かな記憶を手繰り寄せるが、思い出されるのは宇髄さんの暖かさだけ。
「…うーん、そんな気もするけど…。宇髄さんが抱きしめて寝てくれたから安心してすごい寝ちゃったよ。」
「いや、本当に寝過ぎだわ。飯は頼んできたから…って今回は頼むの仕方ねぇからな?お前病み上がりだしよ…。」
「…え?!あ、…あ、うん!ごめん、私が変なヤキモチ妬いたから…。」
そうだ。私があんなこと言ったから宇髄さん気にしてくれてるんだ。
あれでは場合によってはまるで私の作った物以外食べるなと言ってるようにも聴こえるのではないか。
「あのね、寝たらスッキリしたし、もうあんなこと言わないから気にしないでいいよ。」
そう言って宇髄さんに笑顔を向けるが、こちらは本心で心からの言葉なのにどこか浮かない表情をしている彼。
不満そうにこちらを見つめると横に座って私の頬を撫でた。
「…俺は寝てもスッキリしねぇからあんまり他の男に相談とか…すんな。」
「……あ、えと、う、うん。」
よほど産屋敷様に相談したのが嫌だったようでそんな風に口を尖らせている宇髄さんが何だか可愛くて思わず笑いが溢れてしまった。