第20章 未来花嫁修行※
「なぁーに笑ってんだよ。お館様だってよ、男だっつーの…。」
子どもみたいにそっぽを向く宇髄さんに抱きついてみるとちゃんと受け止めてくれるけど、あまりに可愛くて顔のニヤけが止まらない。
「…あのね、でも…自ら相談したわけじゃないよ。産屋敷様が疲れてる?って聞いてくれて…」
「…だとしても、嫌なもんは嫌なの。俺に言えよな…。」
「そうだね、宇髄さんに直接言っておけばこんなことにならなかったよね。ごめんね。」
「……分かればいいけどよ。」
表情は見れないが、少しだけ空気が柔らかくなったので思いっきり彼の胸に顔を埋めた。
大きく息を吸い込むと彼の匂いが体いっぱいに広がるよう。
「なんか…宇髄さん可愛い…っ!」
「は、はぁ?!何だよ、揶揄ってんのか?俺の事!」
「だ、だってぇっ!なんか子どもみたいに拗ねてるんだもん…!」
我慢できずに本音が口から漏れ出てしまうと途端に恥ずかしそうに顔を背ける宇髄さん。
いつも大人で私のことを甘やかしてくれる彼はそこにはいなくて、根底にある素の宇髄さんが垣間見れた気がして嬉しくなってしまった。
「…う、うるせぇな!……お前のことが好き過ぎんだよ。…悪ぃかよ。」
「ううん。悪くない。悪くないし!すごい嬉しいよ。そうやって私だけに見せてくれる宇髄さんも大好き。」
「体治ったら死ぬほど抱いてやるからな。覚悟しとけよ。」
「ふふ…、はーい。」
「お前、本気にしてねぇだろ。朝まで寝かせねぇからな。」
確かにこの時はあまりに可愛い宇髄さんに気を取られて軽く流してしまったけど、全快した日に本当に朝方まで抱かれ続けた。
しかもそれでも気が済まない宇髄さんにその後数日間、今度は情交のし過ぎで寝不足に悩まされるなんて誰が思うだろうか。
それなのに同じように寝不足の筈の宇髄さんは頗る元気でむしろいつもより溌剌としていて恨めしい目で見てしまった。