第20章 未来花嫁修行※
時は遡り、三日前──
目が覚めるとほの花がスヤスヤと眠っていた。久しぶりに自分が起きた時に腕の中にいてホッとしたのはこの時だけだった。
いつもは頬を触っていたり、艶々の髪に口付けたりしていると起きてしまうのに今日はぴくりとも動かずに寝ている。
暫くしても起きないところを見るとずっと寝不足が続いていてたのだろうし、思い寝かせておこうとそっと布団を出る。
顔を洗いに洗面所に行くと、雛鶴が声をかけてきた。
「天元様、おはようございます。ほの花さんも起きてますか?お食事どうします?」
「あー……。ほの花まだ寝てんのよ。」
「え?珍しいですね?!余程お疲れだったんですね。では、天元様の分だけ先に準備しましょうか?」
頼もうかとも思ったが、朝方ほの花が食事を雛鶴に頼むことを嫌がっていたことを思い出して考えなおすと「もうちょい待ってみるわ。」と伝えて部屋に戻る。
しかし、戻ってもほの花は微動だにせずに寝ている。
まだお昼少し前だし、昼飯の頃には起きるだろうとタカを括っていたが、須磨が昼飯だと呼びにきてもまだ起きないので、仕方なく一人で居間に向かっていつもの六人と琥太郎達と食事をとった。
おかしい、と感じ始めたのはその日の夕方。
未だに起きる気配のないほの花に見かねて体を揺すってみた。
「…おーい、ほの花。そろそろ起きろ。いつまで寝てんだよー。もう夜になっちまうぞー。」
体を揺すっていると言うのに全く起きずに寝息を立て続けるほの花の額に触れてみると少し汗ばんでいたので慌てて体温を確認すると朝より熱が出ていることに気付いた。
「…やべ、いつから熱あったんだ…?」
寝かせてやろうと思い、見守るだけだったのを今更ながら後悔した。慌てて胡蝶に伝えるために虹丸を遣いに出すと、夜なのに来てくれたので少しホッとした。
しかし、診察結果は"過労で発熱してるけど解熱剤飲むほどではないから寝かせておけ"というもので深いため息を吐いた。