第20章 未来花嫁修行※
目が覚めると朝だった。
久しぶりにゆっくり眠れてスッキリした頭で起きれたかと思うと目の前に睨みつけるような視線を向けている宇髄さんが目に入った。
キョトンと見つめたまま「あ、おはよー。」と言ってみたら眉間に皺を寄せて顔を引き攣らせながら起き上がり、私を見下ろす宇髄さん。
そして屋敷中に響くほどの大きさの声で叫んだ。
「…なぁにが…"あ、おはよー"だぁあああ!!!テメェ、一体何時間寝たと思ってんだあああああっ!!!」
突然の叫び声に私は恐れ慄き、目をパチクリとさせるが、その声につられるようにバタバタと入ってきたのは同居人六人。
「ほの花さん、起きたんですか?!」
「ほの花様!?」
宇髄さんのあまりの剣幕と六人の心配そうな顔で心配をかけたことは分かるが、朝起きてそこまで怒られるなんて何かしでかしたのだろうか。
「…え、へ?な、何…?!え、う、宇髄さん、何で怒ってるの…?」
「テメェ、何時間寝りゃあ気が済むんだ。つーか、俺がどれだけ心配したかわかってんのか?」
「…え?いま、何時…?」
「何時っつーか…お前が寝てから三日経ってんの。」
「……ええええ??!九食もごはん食べ損ねてる!!!!」
「そこじゃねぇえええええええっ!!!」
私と宇髄さんのやりとりを見て早朝だろうに、こちらを見て微笑んでいる六人も心配してくれていたのだろう。
しかし、今だけ助けて欲しい…。と懇願する目で訴えかけてみるが誰しも微笑んだまま襖を閉めて出て行ってしまった。
(……見捨てられた…。)
襖を見たまま放心状態でいると宇髄さんが急に優しく抱きしめてきたので体をこわばらせた。
まだ怒っていると思ったのに突然優しく触れられるとどうしたらいいのか分からない。
それでもぎゅううっと抱きしめる力があまりに強くて苦しいと思う反面、それほど心配かけてしまったのだと申し訳なくて目を彷徨わせた。