第20章 未来花嫁修行※
何とか理性を保ったまま夜着に着替えさせるとほの花の体を後ろから抱き込み自分も横になった。
秒で寝てしまうだろうと思っていた当ては外れて、「あのね…」と話し出したほの花を上から見つめた。
「…寝ろって。話なら起きた後で聞くから。」
それでも首を振って"いま話したい"と訴えかけてくるほの花に仕方なく頭を撫でてやる。
(…まぁ、その内事切れたかのように寝るか。)
ほの花の頭の下と腰の下に己の腕を入れ込み、抱き寄せると彼女の頭に顔を寄せた。
「…あのね、私、宇髄さんに…婚約者としてもっと色々してあげたい…って勝手に思ってたの…。」
ぽつりと話し出したほの花の言葉に思わず首を傾げたが、口を挟まず耳を傾けることにした。
「もっと、…家事とかして、婚約者として、恥ずかしくないように…って、宇髄さんが自慢に思ってくれるような女にならないとって…。」
その内容に目を見開いたが、当の本人は大真面目のようで俺は人知れずため息を吐いた。それでここ最近、やたらと弁当やら朝飯やら作ったり、一生懸命に家事をしようとしていたのか。
ただでさえクソ忙しい中、俺のために。
「でも、宇髄さん…ちっとも喜んでくれないから悲しくなっちゃって、ちょっと落ち込んでたの。」
「っ、だから、俺はお前が…!」
「わ、分かってる!心配してくれてたってこと。でも…やっぱり、好きな人に喜んでもらいたいって思ってしまって…自分の考えを押し付けちゃってた。ごめんなさい…。」
後ろから抱きしめてるので表情は窺い知れないが、ちゃんと俺の想いは伝わっているようなのでほの花の言葉を待つことにした。
「…昨日、産屋敷様のところに行ったんだ。」
「…ああ、その日だったか。」
すると体を反転させてこちらを向いたほの花が突然、抱きついてきた。
首に手を回してぎゅうッとくっついて甘えるような姿に体調不良だとは分かっているが嬉しくなって頬が緩んだ。