第20章 未来花嫁修行※
予定よりも任務が早く終わったので、一日早く帰宅できることになった。
ほの花は大丈夫だろうか。また無理をしていなければいいが…。
そうだとしても無理矢理にでもほの花の布団に潜り込んで彼女と昼まで寝てやろうと決め込んでいた。
それなのに布団どころか部屋に入る前にほの花と会うことになろうとは誰が思うか。
一瞬、会いたすぎて幻影でもみたのかと思ったが、その姿は間違いなくほの花で、思わず声をかけると彼女が胸に飛び込んできた。
聞きたいことはたくさんある。
何でこんな時間にここにいたんだ。
まさか徹夜で薬作ってたんじゃねぇだろうな。
朝早く起きて家事でもしてたんじゃねぇか。
でも、抱きついてきた彼女がいつもと同じ匂いをさせて、「おかえりなさい」だなんて言うものだからただ頭を撫でることしかできなかった。
何ヶ月も家を空けていたわけでもないのに熱烈な歓迎を受けて嬉しい反面困惑もある。
しばらく抱きしめていた体をトントンと撫でて体を離そうとするとほの花が「ちょっと待って…」と言い、俺の胸に再び掴まった。
「……?どうした?」
こんな朝っぱらからそんな歓迎を受けてしまうと早朝から部屋に連れ込み布団に押し倒してしまいたくなってしまうと言うのに。
しかし、返事をしないほの花に流石に様子が変だと思い、顔を覗き込もうとするとズズ…と彼女の体がずり落ちていった。
慌てて抱き止めるが、突然のことで頭がついていかない。
「ほの花?どうした、大丈夫か?!」
明らかに様子がおかしい。
漸く顔を確認できると、顔面蒼白で目は虚で力なく俺の隊服に掴まっている。
「お前…、言わんこっちゃねぇ…。部屋行くぞ。掴まれ。」
熱が高いわけではなさそうだが、体に完全に力が入らない様子で今にも意識を失いそうな彼女。
抱き上げようとするも「待って…」と消え入りそうな声で言われてしまうので、どうしたもんかとその場で彼女の体を支え続けることしかできずに途方に暮れる。