第20章 未来花嫁修行※
出してくれた羊羹は三色に分かれていてとても春の三色団子を思い出す色合い。
「…わぁ、可愛いです…!」
「そうでしょ?ほの花にピッタリだと思ってね。君が来たら渡そうと思っていたんだよ。どうぞたべて?」
「すみません…、私、薬の調合に来たのに…おやつ頂きにきたみたいでなんか図々しいですよね。」
「そんなことないよ。君がいつも本当に頑張ってくれているのは知っているし、お給金は階級で決まるからほの花に直接お返ししたくてもなかなか出来なくて心苦しかったんだよ。」
そう言って気にしないように言ってくれるけど、薬の調合のお給金は余分に頂いてるし、お返しなんて必要ない。
一体何のお返しだと言うのだろうか。
「い、頂いてます!お薬のは…!だから…」
「個別に隊士が作って欲しいと言った場合も対応してくれてるんでしょ?ちゃんと知ってるよ。寝る間も惜しんでいつもやってくれてるんだよね。時には蝶屋敷で怪我人の手当ても手伝ってくれてるんだよね?薬以外のこともほの花はやってくれてる。でも、それに関してほの花は僕に言ったことはないよ。」
「…え、そ、それは…薬師なので付帯業務というか…!」
「違うよ。薬師なら薬を作るだけしてくれたら良いんだ。でも、ほの花は薬師以上のことができてしまうもんね。灯里さんもそうだったから親子そっくりだ。」
確かに産屋敷様の言う通り薬師としての業務外のこともしている。それは母の実家が医師家系だったから知識としてあるから。
でも、でしゃばるようなことはしてないし、本当に指示をされたことをするだけ。
琥太郎くんの時のは初めてのことだったから私の本業はやはり薬師で間違いないのだ。
「何を言いたいのかと言うとね、君は自分で思っているよりも何倍も頑張ってくれてる。だから天元が心配してるんだと思うよ。少し肩の力をぬいて、天元が帰ってきたら思いっきり甘えるといい。そうするときっと天元、物凄く喜ぶから。」
「え、…そう、でしょうか?」
「うん、間違い無いよ。」
産屋敷様は御盆に乗った羊羹を勧めてくれるのでそのままそれを一口食べると幸せな甘さが体中に広がった。