第20章 未来花嫁修行※
宇髄さんの着物を繕い終えると、任務でいない彼の部屋に入り、それを宅の上に置く。
頼まれないなら自分で見つけてやれば良いだけのことなのだ。
そう決めてしまえば、あんなことで心を痛めることはない。気合を入れるように頬をパンパンと叩くと押し入れから布団を取り出して敷布を外す。
いつも夜お世話になることも多いのだからたまにはわたしが洗わないとと思い、それを持つと洗い場に向かい、洗濯を始めた。
すると、後ろから明るい朗らかな声に呼び止められる。振り返るとそこにいたのは須磨さんでたくさんの洗濯物を抱えてにこにこと笑っている。
「ほの花さん!お洗濯なら私がしますのでーー!今日当番なんですよぉ!」
「当番制だったんですか?知らなかったですー。」
「はい!そうですよ!家事は当番で決めてるんです!天元様の敷布ですか?一緒にやっておきますよー?」
家事を分担してるとは思わなかったので思わず聞き返したが、私が洗っているそれに目を向けると表情をそのままに手を出してくれるので首を振った。
「いえ!これは私がやり始めたのでやっておきます!須磨さんのも一緒にやりましょ?二人でやった方が早いですよ!」
「…え?!で、でも…、ほの花さん、忙しいんですよね?天元様が言ってましたよぉ。あの、今日当番なので、大丈夫です!」
また宇髄さんか…。
ため息を吐くと精一杯の笑顔で「じゃあこれだけやるので途中まで一緒にやりましょう」と断言してしまえば須磨さんは何も言わずに隣に座った。
どこにいても
どこに行っても
彼に守られてる。
そんなこと分かりきっていたことだけど、今は少しだけつらい。
"お前には任せられない"と言われているような気持ちにもなって情けなくも気分が下がる。
明るく話しかけてくれる須磨さんと精一杯の楽しい会話をして、敷布をたった一つだけ洗濯するとその場を後にした。