第20章 未来花嫁修行※
真面目なところはほの花の良いところだ。
故意にサボったり、ズルをしたりすることがないほの花。
しかし、"頑張りすぎる"ところがずっと気になっていた。
鬼殺隊としても
継子としても
薬師としても
恋人としても
その全てで''ちゃんとやる"ほの花。
そこに少しの綻びもないので、いつか体を壊しそうだとずっと案じていた。
自分が任務に出発間際まで見ていてそれが余計に露呈してしまい、不安を煽った。
今日の分まで薬を作ったならば後は少し休めば良いのにほの花はそれをしない。
今日は終わると急に台所に向かったので、嫌な予感がして「何をするんだ?」と聞くと俺の弁当を作ると言う。
慌ててやめさせたが、物凄く不満そうなほの花にこちらが冷や汗をかいた。
「…あのな、毎回作らなくて良い。薬終わったんなら少し休め。」
「私が作りたいの。駄目なの?」
「駄目っつーかよ、休める時に休めって。弁当なんて前まで持っていってなかったし、いらねぇよ。必要なら雛鶴にでも頼むからお前は休め。」
「……何で必要なら雛鶴さんに頼むの?必要なら私に頼んでくれればいいのに…。」
寂しそうにそう言われるが、いまの状況を見たらほの花に頼むと言う選択肢は俺の中にはない。
「お前は忙しすぎんだよ。俺のことはいいから自分のことを第一に考えろ。いいな?」
「…お弁当は必要なら私に頼んでくれる?それならなるべく休むようにするから。」
俺が要らないと言っているのに弁当を作りたがったのかは謎だが、それさえ作れれば休むと言うので仕方なく了承するが、心配は尽きない。
ほの花を抱きしめてみればいつもの彼女の笑顔で見上げてくれる。顔色も悪くないし、熱もない。クマがあるだけなのに後ろ髪を引かれる想いで俺は任務に向かった。