第20章 未来花嫁修行※
そうだ。
もうすぐ琥太郎くん達は出て行ってしまうのだ。
急に寂しくなって来た私は琥太郎くんの了承も取らずに簡易的に服を捲り上げると中に入って行った。
「へ?!は?!な、な、何してんの?!」
「背中流すよ!こういうのあんまりしたことないんじゃない?私は兄が四人もいたからよくやってもらってたんだ〜!」
琥太郎くんとの年齢差は兄たちと同じくらいだと思うし、私的には歳の離れた弟のような感覚。自分より年下がいなかったから弟がいるかと思うと少し嬉しい。
「だ、だからって!こんなことしたら宇髄さんに怒られんじゃねぇの?!」
「何で?背中流すだけじゃん。それに私たち姉と弟みたいなもんでしょ?ふふ。」
「……(それはそれで若干傷つくんだけど)だとしても怒ると思うぜ…。」
「そうかな?気にしすぎじゃない?それに宇髄さんと琥太郎くんだいぶ打ち解けてたし大丈夫だって。」
動揺する琥太郎くんを横目に手拭いを持ち、桶にお湯を汲むとお気に入りの石鹸を泡立てて彼の体を洗っていく。
宇髄さんの背中は洗ったことがあるけど、それと比べると小さくて可愛い背中はあっという間に洗い終えてしまう。
泡を洗い流すためにもう一度桶にお湯を汲んで背中にかけた……が、勢いよくかけすぎて跳ね返って来たお湯で全身びしょ濡れになってしまった。
「あちゃー、びしょびしょになっちゃったから私も一緒に入って良い?」
「は?!いや、ちょ、ちょっと待てって!俺男だぞ?!分かってんのか?!」
「何言ってんの?姉弟でお風呂に入ることだってあるでしょうに。」
そういうと着ていた着物を脱いで行く私を必死に止めようとしてくる琥太郎くんに首を傾げるしかない。
「もうすぐあんまり会えなくなっちゃうし、最後にお姉ちゃんとお風呂入ろう!ね?!」
「(…お姉ちゃんじゃねぇえええええ!!)俺、宇髄さんが気の毒になってきた…。」
「…はい?」
肩を落とす琥太郎くんを見ながら服を全部脱ぐが、せめてタオル巻いてくれと懇願してくるので仕方なくタオルを巻いた。
10歳以上歳が離れているのだからそこまで気にせずとも良いと思ったが、あまりに頑なにそう言うので彼に従ったが、後に私は物凄く後悔することになった。
何なら彼の指示に従って良かったとすら思った。