第20章 未来花嫁修行※
宇髄さんとお出かけから帰ってくると庭で琥太郎くんが素振りの練習をしていた。
私たちが帰って来たのを見ると一目散にこちらに来て「さっきはありがとな!」とお礼を言われて宇髄さんも嬉しそう。
「おー。気にすんな。直に夕飯になるから先に風呂入ってこいよ。」
「それがいいね。琥太郎くん、タオル持っていってあげるからそのまま行ったら?」
「いいのか?ありがとう!そうする!」
汗だくで鍛練していたから今は暑いと思うけど、夕方になり気温もグッと低くなるので早いところお風呂に入った方がいいだろう。
宇髄さんに促されて琥太郎くんが素直に言うことを聞くのは新鮮だけど、この数日間で間違いなく信頼関係は構築されているし、今日の家の件で駄目押しされたのだろう。
宇髄さんのことを少しだけ尊敬の眼差しで見ているのが伝わって来て私まで嬉しくなった。
縁側から履き物を脱いで、お風呂に向かう琥太郎くんを見送ると隣にいた宇髄さんを見上げる。
「私、琥太郎くんにタオル持っていってくるね。」
「おお。今日の夜はぐっすり寝かせてやるから覚えとけよ?」
「わ、分かってるよぉ…!」
耳元で低い声で囁いてくるこういう時の宇髄さんは色気がダダ漏れで、ただでさえ美丈夫なのだからやめてほしい。心臓がいくつあってももたないし、その色気に当てられて変な気分になってしまう。
部屋に戻るとタオルを持ってそのまま琥太郎くんがいる風呂場に向かった。
浴室にいる彼に一声かけて「タオル置いとくね。」と声をかけるとお礼が聞こえて来たが、すぐに呼び止められたのでその場に留まる。
「ほの花。本当に色々ありがとな。あの時、ほの花に助けてもらわなければ俺、犯罪に手を染めて一生を棒に振るとこだった。ありがと。」
その言葉は私がずっと悩み続けていたことを最も簡単に解消してくれた。
首を突っ込んでいいだろうか。
こんな勝手なことをして余計なお世話だっただろうか。
宇髄さんまで巻き込んでこんなことになってしまったけど、こうやって感謝をされてしまうと間違ってなかったのではないかと思わせてもらえてホッとした。