第20章 未来花嫁修行※
「宇髄!ありがとう!美味かった!」
「宇髄さん!私までご馳走になってしまってすみませんっ!美味しかったですーっ!」
結局、大量に食べたのは宇髄さん以外の三人なのにお会計は宇髄さんが全部払ってくれて私はいよいよ震えが止まらない。
いや、有難いけどさすがにあの二人に釣られて食べ過ぎた感は否めないし、まさか割り勘かと思いきや宇髄さんが全部払ってくれるなんて思いもよらなかった。
「じゃあ失礼する!」と颯爽と帰っていく煉獄さんを見送るとお財布からお札を取り出して、恐る恐る宇髄さんに声をかける。
「…あの、これ…。せめて私の分だけでも」
「はぁ?いらねぇし。何なら俺が何の迷いもなく金を出すのはほの花だけだからな?!この場合お前は一銭も払う必要ねぇからしまっとけ。」
取り合ってくれない宇髄さんにどうしたもんかと彼を見上げるが、呆れたように見つめられるだけ。
「あのな、こういうのは男が出すもんだし、あの中じゃ俺が一番年長者だから出すのは当たり前なの。それに付け加えてお前は俺の女なんだからもっと出さなくて良いっつーこと。分かったか?鈍感娘が。」
分かりやすいように説明してくれたが、そうだとしても申し訳なさは募る。納得できないままお金を財布に戻すと頭を撫でられる。
「そんな険しい顔すんなって。お前が喜ぶ顔が見てぇのによ、そんな顔されると連れて行った甲斐がねぇんだけど?」
「え?!あ、ご、ごめんなさい!そう言うつもりじゃ…!嬉しいよ?ありがとう。美味しかった…!」
残念そうな顔をする宇髄さんにやっと自分の身の振り方を間違えたことに気づき、慌てて彼にお礼を伝え笑顔を向ける。
彼の言う通りだ。此処でこんなことを納得できないのも変な話だ。そもそも出してくれると言うのに素直にお礼も言えないなんて、彼を立てなくてどうするのだ。女として可愛くなさすぎた。
自分の心に素直になってもう一度彼に向き合う。
「…宇髄さん、また連れてってね。」
「次は二人で行きてぇな…。うるせぇのなんのって…。」
不満気にそう言ってくる宇髄さんだが、結局彼の面倒見の良さが露呈しただけ。
私がもっと彼のことを好きになっただけ。