第20章 未来花嫁修行※
煉獄はすげぇ良い奴だ。裏表がなくて気持ちがいいほど快活な奴で、鬼殺隊が関係なくとも友人になれると思う。
甘露寺も同じように裏表がない。変な髪色で目立つのが苛つくけど。
だが、この二人に共通して言えること。
裏表がない故にその発言のほとんどに嘘がない。
特に煉獄は空気を読むことよりも素直に生きることを良しとしていると思う。
要するに物凄く純度満点の天然物なわけで、嫌みがないから下手に怒ってもこちらが悪いのではないかという気持ちになることもある。
「う、宇髄さん、一旦落ち着いてください。私の豆大福あげますから!」
「豆大福食ってる気分じゃ…むぐっ」
「おお、豆大福もうまいな!よし、もっと頼もう!!」
隣にいたほの花が落ち着かせようと豆大福を口に突っ込んできやがったが、小豆の甘さによるものなのか、ほの花との距離が近くなったからなのかは分からないが、少しだけ気分が落ち着いて来た俺も随分単純な男だと思う。
「あら!煉獄さん!それなら私、桜餅も頼んで欲しいです!」
「おお!頼もう頼もう!」
「あ、私、あんみつおかわりしますー!」
此処ぞとばかりにほの花まであんみつをお代わりし出したことで、もう此処での俺の怒りは完全に消え失せた。
(…コイツが楽しそうならもういいか。)
そんな寛容な心を持てるのは相手が煉獄だからというのもあるが、美味そうに甘味を頬張るほの花が可愛かったというのが大きい。
突っ込まれた大福を咀嚼して何とか飲み込むとすかさずお茶を差し出してくれるほの花の手を掴むと茶器を受け取らずにそのまま飲ませてもらう。
「な、っ?!ちょ?!宇髄さん…っ!?」
「これくらい良いだろ?俺はさっきからずっと我慢してる。」
「ちょ、っと!!何言ってるんですか!」
「後で覚悟しろよ、お前。立てなくしてやる。」
小声で繰り広げられる会話は前の二人には聞かせられないような内容で、ほの花は顔を真っ赤にしているが、先ほどまでの自分の我慢を考えたらこれくらい許してもらいたい。