第20章 未来花嫁修行※
宇髄さんは面倒見がいいのは知っているし、柱の中でも年上の方みたいだからお兄さん的な立場なのは何となく気づいていた。
でも、いざこうやって柱同士の交流を見させてもらうと如何に彼が大人なのか知る機会になる。
いつもは子どもみたいに駄々をこねて「一発やらせろ」とか言って来たりするのは私にだけに見せる姿なのだと思うとちょっと嬉しかったりもする。
「うまい!うまい!うまい!うまい!」
「美味いのはわぁーったわ!うるせぇな!」
「うまいものはうまいだろう?うまい!うまい!」
「はい!美味しいですね!煉獄さん!」
「だーー!だからもうお前ら本当にうるせぇな!!」
煉獄さんも蜜璃ちゃんもとても明るくて元気で素敵な人。だけどこうやって見ると宇髄さんが大人に見えるから不思議だ。
いや、この二人とて大人なんだけど…。
「ほの花も食べると良い!この草団子は実にうまい!」
「ありがとう、ございます…。」
そう言って目の前に草団子を差し出してくる煉獄さん。かと思えば…
「こっちのあんみつも美味しいのよー!はい、ほの花ちゃん、あーん。」
「へ?あ、あーん。」
その隣であんみつを匙に入れてこちらに渡してくる蜜璃ちゃん。黒蜜が垂れてしまうと思って先にそれに頂いたが、煉獄さんが興味深そうにこちらを見て、あろうことか同じように団子を口元に持ってくるので目を見開いた。
「お、それいいな!ほら、ほの花俺のも"あーん"だ!」
「テメェはすんな!コイツは俺の女だぞ?!ふざけんな!」
「ん?何故だ?ただ甘味をやろうとしているだけだろう?」
「だけじゃねぇ!!俺の女に食いかけ寄越すな!甘露寺は女だから許したが、テメェは男だろうが!テメェの女にやれ!!」
「生憎そういう女はおらん!」
「じゃあほの花にもすんな!阿呆か!」
宇髄さんはとても面倒見がいい。だから先ほどまで彼がこの場を収めていたと思う…が、
最早、こうなってしまえばこの場を収める人はいないではないか…。
私は三人の圧に耐え兼ねて一人で黙々と甘味を食べ続けるしかなかった。