第20章 未来花嫁修行※
おい、待て待て待て。
百八十個って……。
何処に入っていくんだ、その華奢な形で…。
いくら俺でも流石にそれは無理だ。
甘露寺ですら驚いている。
「え、あ、あの…!小さめですよ!!小さいおはぎです!!あの、これくらい!」
そう言って手で形を表してみるが小さいというほどのものでもなく、ごく普通だ。しかし、小さいと思い込んでいた節のあるほの花が俺らの反応に漸く自分の感覚が違っていたのだと気づいたようで俺の顔を見て、苦笑いをした。
「…よく入んな。お前、細ぇのに。」
「うむ!宇髄の言う通りだ!華奢な体をしているのに実にすごい!感心だ!」
「桜餅ならそれくらい食べられるかもしれないけど、ほの花ちゃん凄いわっ!!」
いや、甘露寺も桜餅なら食えるってどんだけ食うんだよ。此処にいる女二人とも甘味馬鹿で間違いない。
ただ甘露寺に関しては飯もすげぇ食うからほの花とは多少違うが。
それでもこの二人合わせたらこの甘味処の甘味を全て平らげちまうのではないかと、逆に店が心配になり始めた。
「あ、あはは…。」と苦笑いをしているほの花だが、好きな女がたくさん食べて嬉しそうに笑っている姿は見ていて気持ちがいいし、こちらも嬉しくなるのは間違いない。
「好きなだけ食えば良いけど、ちゃんと夜飯も食えよ。甘味だけ食って終わりとか言うなら無理矢理夕飯突っ込むからな。」
「わ、わかってますよー!その時はお兄様たちがどんどんくれるから結果として百八十個食べてしまっただけで、私の取り分は五十個だったんです!!」
「いや、"五十個だったんです"って少ねぇみたいな言い方すんな!十分多いわ!!」
「え?!多いですか?!嘘ーー?!」
信じられないと言う顔をしてこちらをみてくるほの花が信じられない。
感覚が違うのは仕方ないが、神楽家の甘味の消費量が些か心配になる発言だった。