第20章 未来花嫁修行※
ほの花を連れて甘味処でもいこうと思っていたら派手な二人組に声をかけられた。
それは見知った顔で柱仲間の煉獄と甘露寺。
元々煉獄の継子だった甘露寺。二人で一緒にいるのは珍しいことでもないが、こんなところで会うのは初めてだった。
「何処かに行く予定だったのか?宇髄と継子兼恋人でお館様の専属薬師だという神楽ほの花!」
「だからやめろ、それ。」
「む?では何と呼べばいいのだ?どれも事実だろう?」
確かに事実を言っているのは間違いないが、あまりに長い前置きを付けるので鬱陶しいことこの上ない。
「あ、あの!柱の皆さんは名前で呼んでくれる方が多いです…!」
見兼ねたほの花が横から口を出してきたが、俺は名前で呼ばんでも苗字でもいいのにと此処まで出かけたが流石にやめた。
「おお!そうか!ではほの花!今度君の薬とやらを是非貰いに行こうと思っていたのだ!その時は宜しく頼む!」
「あ、はい!勿論です!飲み薬は死ぬほど苦いですけどそれでもよければ…!」
「…そりゃ、甘いもん好きのお前の主観だろうが。俺は別にそこまで苦いと感じねぇ。」
薬に不味いもの不味くないものないと思っている人間が多い中、やたらと苦いやら不味いやらに拘っているほの花。
飲みやすい薬を作りたいというコイツの向上心であるとは思うが、気にしている奴は琥太郎のような子どもくらいのものだろう。
「それはむしろどれだけ苦いか興味が湧くな!」
「だから大して苦くねぇって。」
「そうか!それで何処に行く予定だったのだ?」
コイツのまどろっこしい言い方のせいで話がブレてしまったが、道すがら何処に行くのか聞かれていたことを思い出すとほの花を横目に答える。
「あー、ほの花に甘味でも食べさせてやろうかと思ってたとこ。」
「そうか!では行こう!!」
「は?!ちょ、ちょっと待て!何で煉獄が!?」
「あら、私も行きます!宇髄さん!」
「いや、何で甘露寺まで?!」
「じゃあ私も!」
「お前は俺と最初から行く予定だっつーの!!!」
ツッコミどころ満載過ぎて纏まらない奴らで甘味処に行かなければならない現状に俺は目眩をおぼえた。
(…不死川でもいてくんねぇかな…)