第20章 未来花嫁修行※
宇髄さんに道の真ん中で激しい口づけをされてしまい、恥ずかしくてたまらない。これは私の感覚のが正しいと思う。
それなのに平気な顔をして、その後手を繋いで歩く強心臓な彼が信じられない。
まぁ、元々彼は美丈夫だから見られ慣れてるのかもしれないが、こちとら山奥から出てきたばかりの田舎娘だ。
こんな街の中で針のような視線に耐えるだけの精神力は持ち合わせていない。
「なぁ、そろそろ機嫌直せって。可愛い顔が台無しだぜ?」
「…機嫌が悪いわけじゃないもん。恥ずかしさに耐えてるの。」
「慣れろ慣れろ。俺はこれからもやるかもしれねぇし、我慢する気なんてねぇからな。」
さも当たり前のようにそう言われるのでため息を吐くしかない。
男らしくて優しい宇髄さんだが、人目を気にしないと言うところだけは感覚が違って理解し難い。
しかし、どんな彼だとしても繋がれた手を離す気にもならないし、言われた通り「慣れろ」と言う他、対応方法が見つからないのも事実。
大きな手で繋がれた自分の手を見つめるとそれだけで彼に守られているような気にさせられて勝手に顔が緩むのだから私も我慢するところなのだろう。
「宇髄じゃないか!こんなところで会うとは奇遇だな!!」
「あら、ほの花ちゃんまで!こんにちは!」
「おー、何だ、お前らかよ。」
声をかけられた先にいたのは桃色の髪をした見知った可愛い女の子に何処かで見たことのある炎のような羽織を着た溌剌とした男性。
「あ、蜜璃ちゃん!…と、えっと…。」
「あー、コイツは炎柱の…」
「煉獄杏寿郎だ!!宇髄の継子兼恋人でお館様の専属薬師だという神楽ほの花だな!会うのは二度目だ!」
あまりに圧が強めで呆けてしまったが、明るく元気なお兄さんと言った感じで話しやすそうな雰囲気の煉獄さんにすぐに頭を下げた。
「あ、二度目まして…!神楽ほの花です。」
「おい、煉獄。俺の言葉を遮んな。しかもその長ったらしい前置きやめろ。」
宇髄さんは面倒見がいいのは知っていたけど、割と他の柱の人とも満遍なく打ち解けている様子。煉獄さんとも仲の良さそうな雰囲気なところを見ると嬉しくなった。