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陽だまりの先へ【鬼滅の刃/音夢💎】R指定有

第20章 未来花嫁修行※





胸糞悪ぃ名前を久しぶりに聞いた。
口に出すのも苛ついてくるほの花の元縁談相手だ。
確かに呉服屋の男だとは聞いていたが、まさか浴衣を贈られたことがあるとは思ってもいなかったので腹の中にドス黒い感情が渦巻いている。
嫉妬に狂ってほの花を無理矢理犯すような抱き方をした事があるだけに必死に自分を戒めるが、我慢できずに道すがらで唇を奪ってやった。


苦しそうに歪ませる顔も長く口付ければ落ち着いてきたようで鼻で空気を吸い込んで受け入れているのが分かる。そうしているとやっと気分が落ち着いてくる。
口づけだけで済ませられた自分を褒めてやりたいが、ほの花を離したらきっとこんなところで口づけしたことをまず咎められるのだろうな。


ゆっくりと唇を離してやると顔を真っ赤にして瞳を潤ませて情事中を彷彿とさせるようなほの花の姿に咎められる前に"やっちまった"と後悔させられた。

こんな道のど真ん中で自分の女の発情した姿を他の男に見せることなどあり得ない。


溜まらずほの花を腕の中に収めると深いため息を吐き、彼女が落ち着くのを待つ。


「…宇髄さん、そういう口づけは家の中でしてほしいんたけど…。」

「それに関しては謝る。だけど胸糞悪ぃ名前聞いたら止まらねぇだろ。」

「…他にはないから。あとは宇髄さんにもらったものばかり。父や兄にもらったものはあるけどそれはいいでしょ?」

「…それは許すから色っぽい顔すんな。それは俺だけに見せてればいいから。」

「…誰のせいだと…。」

「あとで甘味食べさせてやっから許せって。」


はっきり言えばあの男とは元縁談相手というだけでほの花を手篭めにされたわけでもないし、交際していたという事実もない。
気にしなければいいことだと大半の人間は思うだろう。

俺とてそんなことまで自分が気になっちまうなんて思いもしなかった。ほの花が俺と出会ってから"初めて"をたくさん経験するように俺もほの花と出会ってから初めての感情を経験していると言って良い。

出来ればこんな経験はしたくないが、それほどにまで溺れた女という事実は消えないわけで腕の中にいるほの花を強く抱きしめ直した。


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