第20章 未来花嫁修行※
「なぁ、いい加減泣き止まねぇ?折角綺麗に化粧してもらったんだろ?まぁ、他の野郎に見せてやることはねぇけど。」
「だ、だって…、宇髄さ、ん、男前なんだもん…!」
「そりゃどーも…。」
ただ手を繋がれて歩いてるだけなのに隣を歩く宇髄さんはカッコいいし、さっきの男前な行動に自分が首を突っ込んだ事象なのに華麗に解決してくれた男気に涙が止まらない。
"お前の責任は俺の責任でもある"
琥太郎くんの処置が終わったすぐ後に号泣してすがった時、宇髄さんが言ってくれた言葉。
私のことも自分のこととして捉えてくれてこうやって責任を果たしてくれた彼が本当に私の家族になってくれたように感じて嬉しかった。
もちろん道半ばで彼と正式に契りを結ぶことはできないが、態度で、言葉で、はっきりと示してくれる宇髄さんが好きで好きでたまらない。
繋がれた手を離したくなくて強く握りしめるともう片方の手で優しく頭を撫でてくれる。
「俺、ほの花の笑った顔がすげぇ好きなんだけどなぁ?」
「ひっく……っ、ちょ、ちょっとま、って…。」
「啼くのはヤってる時だけにしろよな。」
「な、啼くの意味…!違うじゃん…!」
すぐにそうやって猥談にすり替えてくるところも本当は私を笑わせるためだったり、照れ隠しだということも知ってる。
だから私も精一杯、唇を噛み締めて涙を止めようと試みる。
「あーあ…、何で俺、今日抱かねぇ宣言しちまったんだろ…。あの時の俺、ぶん殴りてぇ。」
「…別に、私はシてもいいけど…。」
「え?!いいの?!マジで?!」
"シてもいいけど"なんていう上から目線の発言をしたのに、子どものように顔を輝かせる宇髄さんが可愛くて、自然と笑顔になる。
「…うん。優しくシてね?」
「善処するけど、お前たまにすげぇ煽ってくるじゃん。アレやめろ。」
「…やめろと言われてもどれのことを言っているのか分かりかねます。」
大好きでたまらないたった一人の恋人だけど、一向にそのツボが分からない私は、きっと一生彼の地雷を踏み続けるのだろう。