第3章 立ち振る舞いにご注意を
「さ!どこ行く?とりあえず宿屋さんを探さないとね。」
産屋敷邸を後にすると、私は正宗達を連れて町をぶらぶらとしていた。
たった一日の外泊だけど、彼らとは三ヶ月ほど一緒に旅をしていたので、宿屋を探したり、定食屋を見つけたりするのは慣れている。
「ほの花様、本当に外泊するおつもりなんですね。」
未だに乗り気でないのか大進がジト目で見てきた。そんな風に見られたとて一度決めたことはやり抜かないと。それにお世話になっている宇髄さんにお礼ができる絶好の日だ。
「そんなに外泊が嫌なの?」
「外泊が嫌と言うわけではなく、宇髄様は喜ばないと思うと言っているんです。」
「いやいやいやー、もう女心が分かってないなぁ。宇髄さんもだけど奥様達だってたまには夫婦水入らずがいいって〜!」
「絶対にそんなこと無いと思います。」
珍しく反論してくる大進を宥めることもせずに正宗も隆元もその言葉に頷いている。
同意ってことなのだろう。
頑なに私に反対して来る三人にどうしたもんかと考えあぐねていると見たことある人に声をかけられた。
「…お前、宇髄んとこの継子じゃねぇかァ?」
あ、…!!確か柱合会議のときに居た人…。
名前…!えっと、…。
「あ、し、しなずやまさん…?」
「誰が山だァァッ!!不死川だァ!!」
「し、失礼しました!!不死川さん!!私はほの花です!神楽ほの花!」
名前を間違えてしまってもっとお叱りを受けるかと思いきや、頭を下げる私の肩をとんと優しく触れると「まぁ、いいけどよォ」と言われて拍子抜けしてしまった。
「そいつらは誰だァ?」
後ろにいた三人を不思議そうに見る彼にそういえば会議の時は別室で待たせていたと思い出して慌てて紹介をする。
「あ、えと、私の護衛をしてくれている三人で、正宗、隆元、大進と言います。以後お見知り置きを…。」
「ヘェ、そうかァ。…で?今日は宇髄と一緒じゃねェのかよ。」
「はい。宇髄さんはお仕事に行かれています。」
あれ以来、宇髄さん以外の柱の人に初めてお会いしたが、怖そうな見た目に反して意外に話しやすかった不死川さんとその場で話し込んでしまった。