第20章 未来花嫁修行※
「あー、派手にぶち込みたかったなぁ…。」
「…心の声なら聴こえてますよ…。」
「いや、お前に言った。なぁ、一発ヤってお前は待ってろよ。そんな姿、他の男に見せることないって。な?」
宇髄さんの部屋に向かうと、どうやら雛鶴さんはとても上手にお化粧をしてくれたみたいで、この調子だ。
つい今まで濃厚な口づけをされて、こちらだって下半身は湿ってしまっているが、出かける予定だったのだから仕方ない。
それに私はお出かけするのを楽しみにしていたわけだから彼の提案は受け入れ難い。
「お出かけ…楽しみにしてたのに…。」
「わ、わぁーったって!泣くなよ?な?連れて行ってやるから。さ、行くぞ。」
だからちょっとだけ演技して泣きそうなフリをしてしまうことは許してもらいたい。時間を気にせずにお出かけできることなんて滅多にないし、たとえそれが琥太郎くんたちの用事だとしても共に行けることは喜びしかない。
漸く琥太郎くんたちの部屋に迎えに行くと外に出た。久しぶりに外出できたことが嬉しいのか後ろにいる琥太郎くんとお母さんはキョロキョロとあたりを見渡している。
「なぁ、おっさん。どこ行くんだよ。」
「こ、こら!宇髄さんって呼びなさい!敬語も…!」
「あー、もう良いって。今更そんな敬語使われてもなぁ…。」
「本当に、申し訳ありません…!」
申し訳なさそうなお母さんに宇髄さんは笑って取り合わない。こう言うところ、懐が大きくて本当に好きだなぁ。
鬼殺隊の柱なんて本当ならば雲の上の存在と言うほど凄い人。
それなのに継子というだけでそばにいることを許されて、更に今では恋人だ。異例の大出世と言える私はとても運が良いとしか言いようがない。
「お母さん、宇髄さんも口悪いから大丈夫ですよ。ふふ。」
「おーい、ほの花ちゃんは俺の味方じゃねぇの?」
「味方ですよー?」
呆れた口調だけど、しっかりと私の手を離さない宇髄さんに私も握り返した。