第20章 未来花嫁修行※
翌日、久しぶりに宇髄さんとお出かけができると浮き立っていたわたしは朝から早起きをすると台所に向かう。
しかし、そこにはもう既に三人がいて朝餉の支度をしてくれていた。"早起き"したつもりだったのに、昨夜少しだけ夜更かししてしまったので寝起きの悪い私はウダウダと布団にくるまっていたのだ。
(…もう少し早く来ないとかぁ。)
きっと宇髄さんとの情交の時はこんな風に起きることも難しいだろう。寝ている時の彼と来たら私のことを離すものかと抱きしめて寝ているので私が抜け出すことはほぼ不可能だからだ。
だったらせめてそういう日以外は朝餉を作りたいと思っていた。
流石に仕事があると昼食と夕食までは無理だと自分でも分かっている。
それならば…、と私が行き着いた答えは朝餉と任務時の夜食の準備に寝床の準備くらいはしようと決めたのだ。
"無理をするな"と散々言われるので、仕方なく少なめにしているが、本来なら彼の部屋の掃除もしたいし、洗濯もしたい。
時間があと8時間くらい余分にあれば間違いなくやっていただろう。
「お、おはようございます。」
「あれ?ほの花さん?早いですね?」
「はい。もうすぐ宇髄さん、帰ってくると思うので朝餉の準備手伝ってもいいですか?」
「い、いいですけど…。ほの花さん、クマができてますが、大丈夫ですか?」
まきをさんに瞼の下をなぞられて、初めて知ったそれにギョッとしたが、あとでお化粧で隠せばいいかと安易に考えていた。
今日は宇髄さんと久しぶりにお出かけなんだから少しくらいめかしこみたいという乙女心も相俟っている。
「大丈夫です!ちょっと夜更かししてしまって…!私、お魚焼きますね。」
そう言うと魚を持って七輪に向かった。
手伝うとは言ったものの、手際は彼女達のが遥かにいいだろうし、邪魔しないようにするには魚焼き当番くらいがちょうどいい。
しかし、その内、お母さんまでも起きてくると「ほの花さん、変わりますよ」と言われてしまい、いよいよ手持ち無沙汰になった。