第20章 未来花嫁修行※
翌日、宇髄さんが琥太郎くんたちとお出かけをすると言うので、どうしても行きたくておねだりをした。
ここ数日、怒涛の薬祭りで寝ても覚めても薬のことを考えていた。間に合うか、間に合わないか…?と必死になっていたが、漸く終わりが見えてきたこともあり、宇髄さんの話に食いついてしまうのも、致し方ないことなのだ。
「今から仕事に行く」と言っていた宇髄さんのために急いで台所に向かうと雛鶴さんたちが夕飯の準備をしていた。
「私もお邪魔してもいいですか?」
「あら、ほの花さん。どうぞどうぞ。天元様に何か作るんですか?」
「え、と…えへへ、お弁当を作ろうかと…。」
彼にお弁当を作ったのも結局一週間前のことで、それから薬のこともあってまたもや日にちが空いてしまったが、今日こそ作るぞ!と意気込んでいたのだ。
「わー!天元様絶対喜びますねぇーー!!ほの花さんの手料理!!」
「お誕生日の時もすっごく喜んでたし、きっと食べたかったと思いますよ!」
…そうなんです。
食べたかったらしいんです。
まさかそんなこと思ってくれているなんて露知らず。
折角、婚約者という立場にしてくれたと言うのに私は何もできていない。
今してること。
・鬼狩り
・薬
以上
婚約者とは何ぞや?の状態だ。
せめて花嫁修行でもするべきではないか、と思い立ったわけである。
「あの、これから宇髄さんの好きなものとか色々教えてください…!私、頑張るので…!」
聞くのであればこの三人に限ると思っていたのに、三人が三人とも変な顔をしてこちらを見ている。
まずいことでも言ってしまったのかと思ったが、雛鶴さんが苦笑いをしながらこちらを向くと話してくれた。
「…多分、天元様はほの花さんがそばにいるだけで十分だと思いますので、今はお仕事もあるでしょうし、ほどほどに…ですよ?」
「そうそう。天元様からすればそれよりもほの花さんとの時間のが大事ですって。」
「家事は私たちに任せてくださいーっ!大進様達もいらっしゃるし!」
あまり乗り気でない三人に反対されているのかと思ったが、どうやらそういうわけではなく、宇髄さんとの時間を大切にしろと諭されてしまった。