第19章 まだ見ぬ先も君といたい。【其の弍】※
お互い死んだように意識を手放したのはほぼ同時だったと思うが、先に目を覚ましたのはやはり俺で。
腕の中でコテンと眠りこけているほの花を見ると勝手に顔が緩んでしまう。
警護帰りにあの二人の救出に行き、疲れていたと言うのもあるが、一瞬で深い眠りについたことで恐らく時間はそこまで経っていないのに頭がスッキリしていた。
ほの花の頬に指を這わせると滑らかな肌に滑らせる。
(…つるつるだな)
白くて柔らかい肌は赤ん坊のようにつるつるで吸い付くよう。
普段から容姿に向かう所敵なしだと思っているほの花はこうやって自分の女となった今も見飽きることなく魅入ってしまう。
しかし、いくら深い眠りこけていたとしてもこうも顔を指で触れられていれば目が覚めてしまう。
"触りすぎた"と失念した時には既にほの花の瞳が開かれてしまって、視線が絡み合った。
「……う、ずいさ…?おはよ…」
「おー、悪ぃ。起こしたな。もう少し寝ててもいいぞ?まだ昼前だ。」
昼餉にはまだ早い。
時間にしたら三時間程度しか眠っていない。
もう既に予定は崩れ去っていることだろうし。
だが、少し考えるように俺の胸に顔を寄せると「…起きる」と言うほの花が起き上がった。
寝起きがいいとはお世辞にも言えないほの花がそうすぐに立ち上がることなど出来るわけもなく、そのままぼーっと一点を見つめている。
そんな彼女を支えるように後ろから抱え込むと背中を凭れさせた。
「…琥太郎くんたち大丈夫かな。」
「何かあれば呼びに来るだろ。来ねぇってことは大丈夫なんだろ。」
こういう時、同居人が多いのはありがたい。
元嫁三人たちだけでは不安だろうが、正宗たちもいることで心の余裕も生まれるだろう。
「…さっきね…、初めて考えたの…。」
このまま寝てしまうのではないかというほど動かないほの花に寝てしまってもいいとすら思っていたのに急に言葉を紡ぎ出した彼女に驚いてる目を向けた。