第19章 まだ見ぬ先も君といたい。【其の弍】※
庭で夜着の水分を絞れるだけ絞ると部屋に入って慌ててタオルで体を拭く。
幸いなことに歩いて此処まできたことで体は温まっていて寒くは無い。
置いてあった隊服に身を包むと薬箱を一通り持って、バタバタと足音をした方に向かった。
きっと正宗達と雛鶴さん達が準備してくれているのだろう。
足音の方に向かうと案の定、六人が部屋に勢揃いしていて、タオルで体を拭いてくれている。
「正宗達は急いでお湯沸できて。沸かしたら体を一旦温めないといけないから男性は部屋から出てってね。私は怪我の確認するから。」
「「「了解です!」」」
「まきをさんは着替えの準備、須磨さんは清拭の準備、雛鶴さんは私を手伝ってもらえますか?」
「「「はい!」」」
それぞれに指示を出すとタオルにくるまったままの二人の状態を確認する。
お母さんは荒い息を見るに、熱がぶり返したようだが、体中を確認しても傷らしい傷は見当たらない。
「雛鶴さん、お母さんの方は怪我はないのでお湯が来たら体を拭いてあげて急いで着替えさせてあげてください。後で解熱剤と抗菌薬を投与します。」
「分かりました!」
雛鶴さんが取り掛かるのを確認するとすぐに隣にいた琥太郎くんの前に屈む。どうやら運ばれてる間に寝てしまったようだが、顔を苦しそうに歪ませている。
まだ体に熱を発しているわけではないのでどこか怪我をしてるのかもしれない…。
確認しなければ、と着物を少しずつ剥がしていく。
まずは腕…
袖を捲り上げてもそこには打撲痕も出血も見当たらない。
次は腹部
着物の衿ぐりを開けるが、そこにも打撲痕や出血は見当たらない。
更に下に目を向けると左足に木の破片が突き刺さっているのが目に入る。
刺さっていることで出血はそこまで出ていないが、抜けば出血してくる。大動脈があるところに近いから迂闊に抜いたら大出血だ。