第19章 まだ見ぬ先も君といたい。【其の弍】※
後ろをついてくるほの花の方を何となく見づらかった。
自分が怒鳴ったからだというのは分かってるけど、抱えてる二人よりも本当はほの花のことが気になって仕方ないというのに。
そんな俺に笑顔を向けてくれたほの花だが、コイツのことだから自責の念に駆られている筈。
抱きしめてやりたいというのに手一杯なのが悔やまれる。
しかし、ほの花に怪我はなさそうだし、その目はただ自責の念だけではないことはわかるので少しだけホッとする。
しっかりと後ろをついてくる彼女を確認すると家へと急ぐ。天気は無情なもので、着く頃には雨風もおさまってきていた。ほの花のした事は心配でたまらないが、あの時コイツが行っていなかったら俺も行っていなかった。
回り回ってコイツらは死んでいたかもしれないと考えるとやり方はまずかったが、結果としては良かったと言える。
──ガラッ
早朝ではあるが、あの六人はウダウダと寝ているような奴らでも無いので堂々と玄関から入る。
「…え、宇髄様?…とほの花様?どうしたんですか、ずぶ濡れ…、…、と、その方達は…?」
たまたま玄関の掃除でもしようとしていたのか正宗がそこにいたので「アイツらも呼んでこい。」という俺の言葉に慌てて雛鶴達にも声をかけに行った。
すると、後ろからほの花がおずおずと声をかけてきた。
「宇髄さん、私も着替えて手当ての準備するね。びしょびしょだから外から入るから。」
「…ああ。頼むわ。」
こうなっちまうと頼りになるのはほの花で、薬師として鬼殺隊での信頼は強固になりつつある彼女が此処にいることに安心感しかない。
アイツだって体が冷えただろうに。
また熱でも出さないか心配になるが、今は抱えてるコイツらのが一刻を争うか…。
俺はほの花を見送ると慌てたように勢揃いした六人が持ってきた大判のタオルに二人を包むと預けた。
「天元様!私、お部屋の準備してくるので天元様も着替えて来てください!」
「ああ。すぐにほの花が行くと思うからアイツの指示に従ってくれ。」
「分かりました!!」
まきをが慌てたように廊下を走っていくと隆元も後を追った。
家に着いたことでやっと一息つくと俺も玄関を出て外から部屋に入ることにした。