第3章 立ち振る舞いにご注意を
廊下で三人を取っ捕まえると自室まで引っ張ってきて宇髄さんの誕生日のことを伝える。
「ああ!そうなんですね。さぞかし盛大なお祝いになるのでしょうね。」
なんて呑気なことを正宗が言うものだから慌てて訂正を入れる。
「そうじゃなくて…!いや、きっとお祝いは盛大にやると思うけどさ、うちらきっとお邪魔虫だから今日だけ退散しない?」
「「「はい??」」」
「だから!折角の誕生日なんだから奥様達と家族水入らずで過ごしたいでしょ?!野暮なことする前に今日はどこかで泊まりましょ。」
なんて良い考えなのかしら!と自分の発想が天才的とすら思っていたのに目の前にいる三人は何故か浮かない顔をしていて、肩透かしを喰らう。
「…ほの花様、そもそも外泊って宇髄様に確認取らなくていいんですか?仮にも継子なんですよね?」
「………。か、確認なんか取ったら折角考えた作戦がパァじゃない!」
「しかもその作戦、喜びますかね?」
「同じく。宇髄様はほの花様にも祝ってもらいたいと思いますよ。」
まさか反対されるとは思ってもいなかったので二の句が告げずにその場で固まる。今日はゆっくり考えるだけの時間なんてないと言うのに。
一日の予定がたくさんありすぎて時間に追われる日なのだから此処は少し強引に事を進めるしかなさそうだ。
「私なんかに祝われてどうすんの?継子は気を利かせて夫婦だけの時間を作ってあげるのが一番よ!!兎に角、修行終わったら準備手伝って、昼から産屋敷様のところに行くから準備して待っててね!じゃ!」
「「「………。」」」
無言の圧力で不満をぶつけてきた三人だが、空気を読めない人たちじゃないのに何故反対したのか分からない。
私だって師匠の誕生日はお祝いしたいけど、当日は奥様に譲るものだと思う。
全くあの三人は女心が分かってない。
自分だって奥さんの誕生日に他の男が祝いに来たら内心穏やかではないのではないか?
それと同じだ。
こう見えても私も女なんだし、誤解されるような態度を取らないと約束した以上はこれが得策だ。
私はそう言い聞かせて、一人修行に勤しんだ。