第19章 まだ見ぬ先も君といたい。【其の弍】※
ほの花にまさかバレるとは思わなかった。普段鈍感のくせに、こういう時気付くくらいならもっといつも敏感でいて欲しい。
まぁ、無理な話だが。
「アイツらんとこ行くのは良いけど、何かあったら必ず相談しろよ?」
「うん!分かった〜。」
「あのクソ餓鬼に稽古つけてやんねぇといけないから俺もたまには行くけど。」
「えー!?私も稽古つけてほしいよー!琥太郎くん狡いよー!私のが継子なのに!!」
「あのな…、アイツのはお遊びの延長っつーか…。」
「嘘だよ、だってちゃんと太刀筋直してあげてたじゃん!!」
チッ、こういう時だけ目敏いというか勘がいいというか…。
普段俺がお前に関してどれほど苦労してるか知ってんのか?男の好意には気づかねぇわ、簡単に人を信用するわ、自分に金使わねぇくせに人に使うわ。
こちとら心配しかねぇのに。
「…時間が合えばやってやるって。俺が空いててもとお前が仕事あったりするじゃねぇか。」
「それは…そうだけど…。」
俺が忙しいのは柱である以上仕方ないが、ほの花は普通の隊士よりも遥かに忙しい。
毎日毎日蝶屋敷に入院してる隊士の薬を作り、依頼を受けた薬も作り、お館様のところにも行き、更に週に一度は任務もある。
たまに怪我して帰ってきても、毎朝の鍛錬を休んだことはないし、間に合わないとか言って深夜まで薬を作ってることもある。
それにも付け加えて今はアイツらのこともやってるし。
夜は夜で俺との情交を受け入れてくれてるので、もう無理矢理意識無くなるまで抱き潰して寝かせてやるしか無いとすら思っているのに。
そんな中で稽古つけてほしいってどの口が言うんだ?全く。
いつか疲労でぶっ倒れやしないか、心配でたまらないというのに。
「柱だからなかなか時間取れなくて悪いと思ってっけど、お前もあんまり無理すんなよ。」
「…でも…そうだよね。宇髄さん、忙しいのに我儘言ってごめんね。」
「いや、俺はお前より体力あるからな。お前は自分の心配しろ。」
納得しきってなさそうではあるが、コクンと頷いたほの花の手をもう一度握り直した。