第19章 まだ見ぬ先も君といたい。【其の弍】※
また喧嘩が勃発しそうだったので、慌てて宇髄さんの口を塞いで来てしまったが、よく見ればもう草っ原も抜けている。
慌てて彼に向き合うとジト目で私を見ていた。
「わーーー!ごめんね、ごめんね、ごめんね?!苦しかった?ごめーーん!」
「…別に苦しかねぇけどよ。不満はある。」
そりゃあそうだ。家の外に出た時点で外してあげたら良かったのに此処まで引っ張ってきてしまった。
時間にして数分間は口を塞いだままだったはず。
「ご不満をどうぞ私目にお聞かせください。」
「まず俺以外の男と手繋ぐな。腹立つな。」
「お、お子様でも??」
「時と場合によるけど、今回は駄目。だけど一番の不満はお前を抱く時間がねぇってことだ。帰ったらもう行かねぇと間に合わねぇ!クッソムカつく!」
本気で地団駄を踏んで悔しがっている彼を見てそんなこと…?と一瞬でも思ったのがバレてしまえば翌日の私のお股は死活問題になるだろう。
「本当にごめんね?く、口づけだけだと嫌…?だよね?」
「いや、口づけしてぇけど、すると漏れなく勃っちまうだろうが!俺は勃起させたまま警護に行くのか?!」
そ、それは…かなりまずい。
どんな変態柱だと思われること間違いなし。
だけども、どんなに苛ついていても薬箱をさり気なく持ってくれていて、腰には彼の手が巻き付いているのを見ると結局優しさを感じられてしまう。
「…そ、それはまずい。ごめんね…?」
「まぁ、…変な奴らじゃなかったから安心したけどよ、お前の優しさに付けいるような奴らだったらって心配してたんだ。あんな人気のない所に住んでんのは身を隠すためじゃねぇかって。」
「えー?そうだったの?!大丈夫だよーー!もう、信頼ないなぁ…。」
ん……?人気のない場所に住んでるって言うのは今日行ったから気付いたんだよね?え、でもそれだと何でそれを確認するために来たみたいな言い方するんだろう。
やっぱり前から知ってたのかな?でも、何で隠すの?
えーー、怪しい。絶対変だ。
私はジーッと宇髄さんを見つめるとちょっとカマをかけて見ることにした。