第19章 まだ見ぬ先も君といたい。【其の弍】※
ちっとも帰ってこない宇髄さんに琥太郎くんを呼びに行こうかとも思ったが、また此処で喧嘩されても困るしな…と思いとどまり、ちょうどお昼ごはんの時間帯だったので準備を始めることにした。
「お母さん、今日は宇髄さんがいてくれたのでたくさん食材が買えたので先にお昼ごはん作りますね。」
「いつもいつも本当にすみません…。ありがとうございます。」
「どうですか?そろそろお粥以外も食べてみませんか?」
「い、いえいえ、私は…!」
ずっとお母さんは体調が悪かったのでお粥が良いだろうと思ったが、布団の上で体を起こしている時間も増えて、尚且つ胃腸は悪くなさそうなのでそれ以外も食べれると思う。
…のだが…、こうやって私は良いから…という姿勢は変わらない。「琥太郎に食べさせてやってください」という親心は分かるが、そんな遠慮しなくても良いのに…。
「今日は南瓜を買ってきたので煮付けにしますね。あと琥太郎くんにお肉も食べてもらいたかったので肉じゃがも作りますから。是非お母さんも食べてください!」
「そんな…私なんかに…!」
「私の母直伝の肉じゃが美味しいんですよ〜。」
母は異国出身だけど、日本の料理が好きでよく作ってくれた。
特に肉じゃがは美味しくて大好きだった。異国料理ももちろんよく作ってくれたけど、そう言えば宇髄さんに振る舞うことなんて殆どないことに今更ながら気付く。
本当ならば、作れば喜んで食べてくれそうだけど…。宇髄家では暗黙の規約のようなもので元奥様三人が家事を分担して担当していて、下手に口も手も出せなくてそのままお願いした形になっている。
もちろん鬼殺隊としての仕事も薬師としての仕事もあるため、自分に割り振ってもらっても出来ない時も出てくるだろうからあまり出しゃばらなくてもいいのかもしれないが。
(…たまには…私が作ったもの食べてもらいたい、かも…。)