第19章 まだ見ぬ先も君といたい。【其の弍】※
薬の調合をするだろうから俺らが騒いでたら煩いだろうなと思い家から出てきたが……。
担がれながらもジタバタと暴れ回る琥太郎はやれ「降ろせ!」やら、「離せ!」やら煩いので仕方なく降ろそうとしたのに暴れ回るソイツが腕から勝手に転げ落ちた。
「おっさん!大人のくせに暴力振るうなんて最低だぞ!!」
「はぁ?てめぇが暴れて自分から落ちたんだろうが。怪我したんなら後でほの花に傷薬もらってやるよ。」
「お、お前!ほの花の何なんだよ!!俺には呼び捨てすんなって言っておきながらおっさんは呼んでんじゃねぇか!」
あからさまにほの花に惚れてるこの餓鬼が俺の存在が何なのか分かっているが認めたくない…と言った様子で喚き散らしてくる。
餓鬼であっても俺の女の魅力にやられちまったのは100万歩譲って良しとするが、餓鬼であろうと何だろうとほの花との関係は変わらない。
派手に俺の女だと見せつけてやるだけだ。
「あ?アイツは俺の女なの。俺がアイツを名前で呼んで何が悪い。」
「はぁ?!おっさんみてぇな口の悪ぃ下衆野郎がほの花に手出してんじゃねぇよ!絶対嘘だろ!だってほの花はおっさんのこと苗字で呼んでたじゃねぇか!!」
「誰が下衆野郎だと?!口が悪いのは認めるが、アイツと俺は間違いなく恋仲で、婚約者だっつーの!苗字で呼んでんのはアイツの癖だわ!」
餓鬼相手に何ムキになってんだよ…と若干冷静になってきたが、ほの花の恋人として絶対認めたくないという強い意志を感じる琥太郎の視線にため息を吐く。
それにしてもこんなことならばアイツに名前で呼ぶように躾けておくんだったな。
最近やっと敬語が取れて様になってきたが、たまに敬語になりそうな時もまだあるし、これ以上ねだったら頭から湯気が出て蒸発しちまいそうだ。
(アイツの心の余力を考えるとまだそんなこと言えねぇんだよなぁ…呼んで欲しいけど。)
どこまでもほの花には甘くなってしまう自分に肩を落とした。